時効援用サポートサービスの対応事例

~引田法律事務所からしつこく請求書が届く

こんにちは。
私は、一般の方々に向けて相談や悩みごとを法律で解決する方法などを紹介する仕事をしています。法律を身近に感じる場面はなかなかないかもしれませんが、時には法律が非常に身近になることがあります。

今回紹介するのは、身に覚えのない法律事務所から代金支払いの督促が何度も届いていて困惑した方の事例です。法律が自分を助けてくれる機会もなかなか想像しづらいと思いますが、聞いたことのない法律事務所から料金を請求されてしまうなんてなおさらイメージが難しいものですよね。

通常、法律事務所から請求書が届くといえば、裁判訴訟の際に弁護士のサービスを利用した時とか、家族内で相続のトラブルになって身内だけでは収集が付かなくなってしまった時などごく限られた場面しか想像がつかないのではないでしょうか?そして、それらのパターンは、弁護士事務所に自らサービスを依頼するケースです。

しかし、実際よくあるのが、法律事務所が借金の回収の代行をするケースです。通常、借金の回収はお金を貸した金融機関がおこないますが、金融機関は借金の回収以外の日常業務もあるので、期限を過ぎてもなかなか回収が進まない借金の回収を外部の業者に委託するケースがあります。

そして、このような回収業務をおこなうことが認められているのが、法務大臣からの認可を受けた民間のサービサー(債権回収会社:2018年12月時点80社)と弁護士事務所です。
つまり、消費者金融(もしくはカードローン会社、クレジット会社など)から借りたお金を滞納してしまったまましばらく期間が過ぎた場合に、突然弁護士事務所が消費者金融に変わって請求書を送付してくることがあるということです。

今回の相談のケースでは、13年前に武富士(当時業界トップだった消費者金融会社。現在は倒産してしまいました)から借りたお金の滞納分について、引田法律事務所という弁護士事務所から督促状が届くようになった方からの相談です。

相談者さんは、引田法律事務所という名前には当然心当たりがなかったので、何度も届く請求書について何かの間違いか詐欺のようなものだと考えて、督促状を廃棄されていました。しかし、余りにもしつこく書類が届くので、なんとかストップさせたいと思われました。

結果的に、法律の専門家である行政書士事務所をインターネットで発見し、詳細について話をしたところ、請求に関しては詐欺でも間違いでもなく正当なものである可能性が高いものの、時効期間が成立している可能性が高いため、時効援用制度を利用されることになりました。

時効援用とは、一定の期間が経過して時効を迎えた借金について、時効の成立を理由として支払いを行わなくても済む制度です。時効援用制度を利用すれば、借金を支払わなくても済むということです。結果的に今回の相談者さんは、時効援用をおこない、借金返済義務が法律上なくなりました。

時効援用の相談電話(相談者さんのプロフィール)

相談者のプロフィールから紹介します。

今回の方は、30代女性です。民間の企業で一般事務として勤めています。アパートにて一人暮らしをされています。20代の頃は、家計のやりくりがうまくできなかったことやバッグの収集の趣味などがあったことから、会社の給料だけで生活することはできず、消費者金融にお金を借りたこともありましたが、現在は収入の中で何とかやりくりをされています。

しかし、数年前から断続的に引田法律事務所から督促状が届くようになりました。督促状を開いてみると、高額な請求額が記されているので、最初のうちは無視されていましたが、頻繁に届くようになったので少し気味が悪くなり今回、法律事務所に相談されることになりました。

相談者さんのプロフィール
年齢 30代半ば
性別 女性
職業

会社員(一般事務員)

家族構成

単身

相談内容

13年前に消費者金融の武富士で30万円弱の借金。最初は返済しようと思ったものの、だんだん返済が苦しくなり、結果的には12年前から支払いを滞納。借金の回収は武富士でしたが、現在は引田法律事務所から届いている。返済額は、当初の30万円弱から利息(遅延損害金)が膨らみ約160万円以上に・・・。

相談者の要望

身に覚えのない法律事務所から何度も督促状が届く状況を何とかしたい。

相談の
きっかけ

高額な請求額が記載された督促状が頻繁に届くようになったので、少し気味が悪くなって相談しようと思った。

時効援用の相談内容(メール)

今回、相談者の方は法律事務所に次のような相談メールをされました。

はじめまして。こんにちは。

気になっていることがあるんですが、引田法律事務所から何度も書類や電話が届いています。名前に身に覚えがないのに、お金を返済してほしいという内容で非常に困惑しています。届いた書類はほとんど捨ててしまっているので手元に残っていないのですが、どうすればよいのか相談できるのでしょうか?

とてもシンプルな相談内容ですね。この時点では、相談者さんは引田法律事務所が武富士の代行をして請求書を送ってきていることを把握されていませんでした。

相談を受取った行政書士事務所は、まず、相談者さんの誤解を解くところからスタートすべく、折り返しの電話をすることになりました。

時効援用の相談内容(電話)

スタッフさんは、あらかじめ相談者さんに都合を確認して、指定された時間に電話されました。また、届いた督促状を先にメールで送付してほしい、と依頼されました(幸い「ほとんど破棄」しているとされていた督促状についても最新のものが手元に残っていたので、最新の状態の督促状が確認できました。こうして、督促状の確認を踏まえた状態での相談となっています。

こんにちは。この度、引田法律事務所のことで相談していただいた行政書士事務所のスタッフです。今、お時間よろしいでしょうか?

こんにちは。はい、問題ありません、よろしくお願いいたします。

ありがとうございます。早速本題ですが、今回は先ほどメールで送っていただいたような引田法律事務所からの書類や電話がしつこく届いているということですね?

そうなんです。最初のうちは間違いかと思ってあまり気にしていなかったのでいつごろから届いていたのかもあまり覚えていないんですけど、最近もしょっちゅう電話と封筒が届きます。心当たりがないから、かなり困惑してます。

そうなんですね。確かに、心当たりがないと非常に気持ち悪いものですよね。ただし、今回の引田法律事務所の督促状の場合は、間違いや詐欺ではない可能性が高いです。

え?そうなんですか?私は引田法律事務所という名前に心当たりがないんですけど・・・。

はい。引田法律事務所さんからお金を借りられたわけではないですよね?手元に今回の督促状はお持ちですか?一緒に見ていただくと、分かりやすいと思いますので。

はい。今、手元に用意してあります。

では、ご覧いただきたいんですが、用紙の下の方に「なお、本契約は、貴殿が更生会社株式会社武富士と締結したものを、同社の消費者金融事業を株式会社ロプロ(株式会社ロプロは2012年9月1日に株式会社日本保証に商号変更しております)が事業承継した結果、通知会社に承継されたものとなります」と書いてありますよね?

・・・はい。書いてありますね。

この内容は、簡単にいえば消費者金融武富士との借金の契約を引田法律事務所が引き継いだ、ということが書いてあるんです。ですので、以前に武富士でお金を借りた覚えがないでしょうか?

えっ・・・、武富士では確かにお金を借りたことがあるかもしれません。でも、そんなことってあるんですか?

普通は借金の督促はお金を貸した事業者がおこなうんですが、弁護士やサービサーと呼ばれる借金の回収を専門に行っている業者にかぎっては借金の回収を代行して行うこともあるんです。引田法律事務所は、武富士の回収などをおこなっている弁護士事務所として有名な弁護士事務所なんです。

そうなんですか?じゃあ、この届いている書類の借金を私は支払わないといけないんですか?

もし、その借金に心当たりがあったら、少なくともそのままにしているのはまずいです。新しくお金を借りたり、ローンを組んだり、生命保険に加入したりすることができなくなりますし、場合によっては引田法律事務所から訴訟を起こされる可能性もあります。もし、心当たりがないなら、詐欺の可能性がないとはいえませんが・・・

いえ。武富士でしたら、確かに10年以上前に借金していたのを覚えています。確か、最初は返していたんですけど2年目くらいに生活が苦しくなって滞納するようになってそのまま放置していたんです。武富士が倒産したから、もう返さなくても大丈夫なのかなって思っていたんですけど。

そういうことでしたら、やはり対策を早急に考えましょう。そうでないと、借金が現状かなり高額になってしまっています。

この1,634,686円という金額が私の借金なんですか?とても現実的に支払える金額ではないです。利息ってこんなに高いんですか?

そうですね。利息が16%、遅延損害金率が、26.280%。ちょっと、高いですよね・・・。元々借りられたのは、30万円弱ですが、13年分の利息と遅延損害金がかかっているから、元金よりもかなり高額になってしまっています。

私は、武富士から借りた借金を引田法律事務所というところに返さなければならないということなんですか?

おっしゃる通りです。引田法律事務所は、武富士の代わりに料金を請求する仕事を請け負っているので。

これは、もうどうしようもないんですか?とてもじゃないけど、返せる金額じゃないし、どこか他の人に借りることもできないですし、どうしたらいいんでしょう?

もしかしたらこの借金は時効が成立しているかもしれないので、まずはいくつか確認をさせてください。借金の返済は借りられて2年目以降は一度もされていないということでよろしいですか?

はい。そうですね。滞納してからはずっと生活が苦しかったので、一度も返済していません。

分かりました。では、その間に「返済を待ってください」と相手にお願いしたり、「月々の負担を少なくしてください」と交渉したりした覚えはありませんか?

それも無いですね。一度も相手とは電話で話したり、会って話したりしたことはありません。

分かりました。最後に、裁判の通知を裁判所から受け取ったことはありませんか?

それもないですね。封筒には全て目を通していますが、裁判所から封筒が届いたらさすがに覚えていると思いますし、いつも封筒の中身は必ず確認しますので。

でしたら、今の話が本当なら、時効援用の手続きを進めることができます。

時効援用とは何ですか?

えー、借金にも刑事事件のように時効が設けてあります。ですので、時効期間を迎えた借金については時効を主張することで帳消しにできる可能性があるんです。

1円も支払わなくてもよくなるということですか?

そうですね。厳密にいえば、時効援用の書類を送付するために内容証明の送料がかかりますし、当事務所に手続きのサポートを依頼いただく場合には手数料9,800円~がかかりますが、借金の返済額は0円になります。あと、もし何らかの食い違いがあって、時効が成立しなかった場合には、手数料はかかりますが借金は残ってしまう点にも注意が必要です。

時効が成立しないのはどんな時ですか?

記憶違いで実は裁判を起こされていた時とか、直近5年以内に1円でも支払いをしていた時などですね。

それ以外の場合には時効が成立するんですよね?時効が成立したら、引田法律事務所からのしつこい催促も届かなくなるんですか?

要件さえきちんと満たしいていれば、時効援用は必ず成立します。そして、時効が成立した後は、催促も届かなくなります。

その時効援用の手続き、ぜひお願いしたいです。どのように依頼をすればよいんでしょうか?

電話相談のポイント解説

今回のポイントを一つひとつ整理していきましょう。

ポイント1
引田法律事務所とは

引田法律事務所は、債権回収の代行(借金の回収)を専門におこなっている弁護士事務所です。弁護士には債権回収業務をおこなえることが弁護士法によって認められていますが、引田法律事務所は債権回収業務専門ということで借金の回収業者として非常に有名な法律事務所です。

東京日本橋に事務所がありますが、請求代行の事業としては全国対応をしています。

特に、旧武富士(現在は株式会社日本保証が継承)の請求代行をおこなっていることから武富士の債権回収代行業者として有名です。

ポイント2
法律事務所から督促状が届いたら・・・

債権回収業務をおこなっている法律事務所から請求書が届いたら、原則としては法律事務所に対して支払いをしなければなりません。法律事務所は、本来の債権者から債権(借金の回収を請求する権利)を買い取っている、あるいは委託を受けているため、債権回収に関しては元々の貸主と同じ権利を持っていることになります。

返済方法の相談(期日を延期してもらいたい場合、月々の負担を軽減してほしい場合など)をしたり、時効援用の手続きをおこなったりするのも元々の債権者ではなく、法律事務所に対して行います。

ただし、注意をしたいのが、もし法律事務所に対して返済方法の相談をした場合には、時効期間が中断してしまうことです。時効期間の中断とは、時効期間が0からにリセットされてしまうということです。借金の場合は、刑法の時効と異なり一旦時効期間が経過した後でも時効の援用をおこなう前に時効期間の中断事由があると、時効は成立しなくなってしまいます

ポイント3
引田法律事務所からの督促を無視し続けたら・・・

相談者さんが悩んでいるように、引田法律事務所からはかなり頻繁に督促の電話や封筒が届くので、「しつこい」と感じる方も多くいらっしゃいます。

こうした督促に対して、「怖いから」「支払うお金がないから」などの理由で無視を続けていると、最悪のケースでは裁判訴訟を起こされてしまうことがあります。その結果、給与や財産を差し押さえられてしまい、その後の生活に大きな不都合が生じてしまうということも起こりえます。

督促に対して最善な対応方法については状況によって異なりますが、今回の相談者さんのように時効援用が利用できる状況であれば、借金を帳消しにできる可能性があります。

借金から5年経過していない場合や、裁判訴訟などの時効中断事由によって時効期間が経過していないケースでは、債権整理の手続きをして引田法律事務所に対して返済方法や、利息金額の調整などについての協議を行います。

ちなみに、引田法律事務所からの督促状に連絡先の記載がありますが、直接連絡をした場合には希望の条件がほとんど通らないことが多いため得策ではありません(むしろ、時効中断事由となってしまうので、デメリットがはるかに大きいです)。

安易に自己判断で行動せずに、まずは法律の専門家にご相談することをおすすめします。

ポイント4
身に覚えのない会社から請求書が届いたら・・・

身に覚えのない会社や弁護士事務所から請求書が届いたときに、今回の相談者さんのように書類を破棄していると、本来有効な請求書を無視してしまう結果にもなりかねません。
また、最悪のケースでは裁判所からの通知を間違って捨ててしまう可能性もあります(裁判所からの訴訟の通知を無視してしまうと、訴訟を起こした側の意見をもとに裁判が進められてしまうので不利な結論が出てしまうことが非常に多いです)。

従って、基本的に書類が届いたら内容をきちんと読むことが大切です。

今回の相談者さんのケースでも、書類をきちんと読めば元々の債権者の名前である株式会社武富士の名前や、借金の金額などが細かく明記されていました。これらの情報を確認して思い出す作業をしていれば、電話で相談する前に過去の借金を思い出せていた可能性があります。今回の相談のケースでは、相談した行政書士事務所が債権回収代行の弁護士事務所であることに気が付いたので問題ありませんでしたが、相談する場所を誤った場合には、より深刻なトラブルになってしまっていた可能性もあります。

また、督促状は時効援用手続きができるか否かを確認する際にも非常に有効な書類となります。

債権者の情報、返済金額、借金した日付など時効援用に関する重要な情報がすべて記載されているからです。督促状さえあれば、時効援用通知書の作成に必要な情報はすべて記載されているので、破棄せずに保管しておくようにしましょう。

ポイント5
利息と遅延損害金

今回、元々の借金が30万円弱であるにも関わらず、請求金額が160万円ほどにまで膨らんでいました。なぜそれほどにまで膨らんだのかといえば、利息遅延損害金がかかっているからです。

利息とは、当初の支払期日までにかかる金利のことです。当初の契約に基づいて一定の利率でかかります。消費者金融からの借金ということもあり担保もないので、銀行で借りる住宅ローンやマイカーローンなどとは比べられないほど高い金利設定となっています。

遅延損害金とは、当初の支払期日よりも支払いが遅れてしまったことに対する損害金のことです。借金の滞納金に関しても当初の期日を過ぎてしまった場合には利率の高い遅延損害金が発生します。借金の金額によって上限が定められていますが、期間が延びれば伸びるほど損害金も高額になってしまいます。

相談者さんのその後

相談の依頼を受けてから、それほど日にちも経過していないタイミングで相談者さんから行政書士事務所にお礼の電話がかかってきました。

先日は、時効援用の手続きを進めていただきまして誠にありがとうございます。おかげさまで、あんなにしつこかった引田法律事務所からの督促の連絡がパタッとやみました。

そうなんですね。それは良かったです。時効援用の手続きが完了したようですね。

そうなんです。実は、先日申し込みをしてから数日後に、引田法律事務所から時効援用手続き完了の書類が届いたんです。今回はどんな書類が届いたんだろうかとヒヤヒヤしたんですけど、中をあけてみたら時効が成立したので、今後の請求はおこないません、という内容の通知でした。

それならば、確実に今回の案件に関しては時効が成立していますね。良かったですね。

はい。本当にありがとうございます。今、160万円もの借金を返済しなければならないなんてことになったら、本当に手段が思いつかなくて途方に暮れてしまいます。借金に時効があることさえ知らなかったのに、こんな風に解決していただいて・・・本当にありがとうございます。

まとめ

今回の相談者さんは、引田法律事務所からの突然の請求書にどのように対応すべきかわからず困惑をされて、行政書士事務所に相談されました。

結果的に引田法律事務所からの請求は、間違いや詐欺ではなく武富士の過去の借金の請求代行という正当な物でしたが、相談者さんの場合には時効期間が経過したこともあり時効援用の制度を利用することで借金の支払いを帳消しにすることができました。

引田法律事務所からの督促はそのまま無視を続けると、裁判訴訟を起こされてしまうなどのさらに深刻な事態を招く可能性もあります。今回の相談者さんのケースでは運よく時効が成立しましたが、トラブルが深刻化しないためにはできるだけ早期に行政書士事務所等に相談するなどのアクションを起こしたいところです。