時効援用サポートサービスの対応事例

~過去の借金で住宅ローンが通らない

こんにちは。
私は、一般の方々に向けて相談や悩みごとを法律で解決する方法などを紹介する仕事をしています。法律を身近に感じる場面はなかなかないかもしれませんが、いざという時に法律が窮地を救ってくれることがあります。

今回紹介するのは、住宅を購入しようと思った時に、住宅ローンに通らなかった方の相談事例です。

相談者さんがよくよくローンに通らなかった理由をよくよく調べてみると、過去に滞納になったままの状態の借金が見つかりました。一般的に知られている通り、未返済の借金があると、個人信用情報(いわゆる「ブラックリスト」)に記録されてしまい、ローンやクレジットカードの契約ができなくなってしまいます。

そして、ローン会社の担当者さんからのアドバイスを受けて、相談者さんは時効援用について知り、行政書士事務所に時効援用のサポートを依頼して、その結果借金が帳消しになりました。さらに、その後住宅ローンの審査も無事に通過されました。

長年放置したままになっていて存在を忘れてしまっていた借金が見つかった時に、相談者の方がどのように問題を解決されたかについて、今回相談をされた行政書士事務所とのやり取りを中心に紹介します。ポイントは、滞納している借金はあるが、すぐにローンを組んで住宅を購入するにはどうすべきか、ということです。

時効援用の相談電話(相談者さんのプロフィール)

相談者のプロフィールから紹介します。

今回の方は、30代男性です。結婚をして子どもが生まれることが分かったことをきっかけに一軒家を購入しようとされましたが、その際に金融機関のローンの審査が通りませんでした。相談者の方がご自身で個人信用情報機関に照会(問い合わせて確かめること)をしたところ、過去に消費者金融から借りたお金が未返済になっていたことが分かりました。

相談者さんにとって10年近く前に借りたお金で、最終に支払ったのも7年前のことだったという事情もあり、すっかり記憶になかった借金でした。

相談者さんのプロフィール
年齢 30代半ば
性別 男性
職業

会社員

家族構成

夫婦(来年に赤ちゃんが生まれる予定)

相談内容

約10年前に消費者金融で20万円弱の借金。その後、約3年間で14万円ほどを返済したものの、相談者さん自身の転職などの慌ただしさなどもあり、返済が滞ってしまっていた。相談者さんの記憶では、最初の頃ははがきで督促状が何度か届いていたものの、裁判を起こされた記憶はない。

相談者の要望

子供が生まれるこの機会に、ローンを組んで一軒家を購入したい。

相談の
きっかけ

住宅が購入できないかもしれないと困っていたら、時効期間を経過していることに気がついたローン会社の担当者から「時効援用の制度が利用できるかもしれない」というアドバイスをもらった。そして、インターネットで時効援用について調べたところ、時効援用のサポートを行っている行政書士事務所を知った。

時効援用の相談内容(電話)

相談者さんからの相談電話の内容を紹介します。

あの、過去の借金の時効援用に関して相談があるんですが。

はい。ありがとうございます。どのような内容のご相談でしょうか?

はい。10年ほど前に、消費者金融の武富士で20万円くらい借金をしました。ずっと忘れていたんですが、今回住宅ローンを借りようと思って金融機関に事前審査をお願いしたら通らないことが分かって・・・その原因がこの10年前の借金の滞納分だったんです。

そうなんですね。返済はいつごろまでされていましたか?

最後に支払いをしたのが、お金を借りてから3年後でした。ですので、今から7年ほど前のことです。今回、審査が通らなかった原因を確かめるために、JICCに照会をかけたので、最後に支払いをした時期については間違いないです。その書類に、「日本保証」からの債務が残っているとはっきり書かれていました。

ありがとうございます。日本保証は、武富士の後継企業ですね。7年前に最終の支払いということなら、時効の中断がなければ時効期間は経過していますね。今回は、この借金について時効援用をしたいということでよろしいでしょうか?

はい。借金の滞納が残っているのは気分的にもよくないですし、できるだけ早めに住宅を購入したい気持ちもあるので。

かしこまりました。当事務所にご依頼いただく際には、後ほどJICCの「信用情報記録開示書」も見せていただきたいと思います。

わかりました。

ありがとうございます。ちなみに、この10年前の借金以外に他の借金はありませんか?

はい。この借金以外には、ありません。照会した結果もこの1件しか記録されていませんでしたし、他に借金をした覚えもありません。

承知いたしました。では話は戻りますが、この10年前の借金について裁判を起こされてしまった覚えはありませんか?消費者金融からの借金の時効は最終の返済から5年ですが、裁判を起こされてしまうと時効期間がリセットされてしまうんです。

記憶にある限りでは・・・裁判は起こされていないと思います。もし、裁判を起こされた時には、ハガキが自宅に届くんですよね?そもそも、数万円程の滞納でも裁判を起こされることはあるんですか?

そうですね。ご自宅に裁判所から通知が届くと思います。通常、借金をした際に消費者金融に登録した住所に届くので、ご自宅とは限りませんが。あと、裁判訴訟をするかしないかは債権者の方の考え方次第なので、なんとも言えないところですね。

金融機関の登録住所だったら、自宅で間違いないですね。そして、裁判所からの通知はやはり一度も届いていないですね。ですので、時効援用サポートのサービスをお願いしたいと思います。

承知いたしました。では、この後の流れなどを説明しますが、その前に質問や気になる点などはありませんか?

お願いいたします。では、早速質問なんですけど、時効援用の手続きが完了したら住宅ローンは通りやすくなりますか?

そうですね。債権者がどういった手続きを取るかによってケースバイケースです。時効援用の手続きが完了した後2~3か月で個人信用情報の事故情報が消えることもありますし、状況によっては時効援用後最大5年間事故情報が残ってしまうこともあります。これは、実際に手続きしてみないと、はっきりした状況は分からない部分ですね。

じゃあ、審査が通るか通らないか分かるようになるのはいつ頃になりますか?

当事務所から時効援用の書類を送付するまでの日数がだいたい2~3日、債権者が詳細を確認して時効援用の手続きをするのがだいたい1か月くらい、それから債権者が個人信用情報機関の異動情報の削除を依頼するので、早くて2か月くらいですかね。ただ、ケースバイケースで数か月以上日数がかかってしまうこともあるので、一番確実なのは一定期間が経過したら、個人情報信用機関に問い合わせるか、再度住宅ローンを申し込みするかのいずれかが良いのではないでしょうか。

わかりました。では、早速依頼手続きを取るようにすすめたいと思います。手続き方法について教えてください。

承知いたしました。ありがとうございます。では・・・

住宅ローンが通らないと今後の生活にも大きな影響が出てしまいます。審査やローンが通らない場合は過去の債務が残ってしまっている可能性もあります。

電話相談のポイント解説

今回のポイントを一つひとつ整理していきましょう。

ポイント1
住宅ローンの事前審査(仮審査)とは?

住宅購入希望者が、金融機関からローンを組む際には、必ず審査が必要です。
この時、住宅を購入する際の本審査の前に、簡易的な手続きにてお金が借りられるかどうかを金融機関に調査してもらうための審査を行うのが一般的です。これを、事前審査(仮審査)と言います。

事前審査が設けられている目的は、取引の円滑化です。

住宅ローンは、住宅購入手続きが完了し住宅が購入者の物になった時に借りることができるようになりますが、この段階になって初めてローンが借りられないことが分かった場合、住宅を売る人も買う人も非常に困ってしまいます。
そこで、あらかじめ審査が通るかどうかについてシミュレーションしてから、住宅購入の手続きを進めるという流れを取るということです。

事前審査では、個人情報信用機関に照会をかけて過去の滞納状況などを詳しくチェックされることになります。仮審査は3日~1週間程度で終わる簡易な審査ではありますが、過去に支払いの滞納があったり、自己破産や債権整理などの信用情報にキズが付いたりしている場合には必ず仮審査の段階でチェックされます。

ポイント2
住宅ローンの事前審査に通らない理由

住宅ローンの事前審査に通らなかった場合、金融機関はその理由までは教えてくれません。

しかし、事前審査に通らないパターンはいくつかあります。

①個人信用情報に異動情報(キズ)がある

今回の相談者の方のように個人信用情報に異動情報が掲載されている場合は、住宅ローンの審査にはまず通りません。異動情報とは、消費者金融からの借金やクレジットカードの引き落としが2~3か月滞ってしまった時に記載されます。

②過去に支払いの滞納がたびたびある

完済していても、過去に支払いの滞納がたびたびある場合には、やや信用が落ちます。その他の条件などを踏まえて、金融機関の判断によっては審査が下りないこともあります。

③他の借り入れローンが多い

マイカーローンや、ショッピングのリボ払いなど他の借り入れローンなどは返済負担率に影響します。

④金融機関の基準によるもの

収入額、勤めている会社の規模、会社への勤続年数、雇用形態(正社員orアルバイト)など、金融機関の基準に満たない場合には、審査に落ちてしまいます。

これらの中で、特に①の異動情報が掲載されている場合には、他の条件がどれだけ問題なくとも(例えば一部上場企業に勤めている方や公務員の方などでも)ローンの審査には通りません。その他の理由に関しては総合的に判断されます。

ポイント3
住宅ローンの事前審査に通らなかったら・・・

「住宅ローンの審査に通らなかったが、家は購入したい」ということはよくあるケースです。状況によって取れる対応は異なりますが、一般的には以下のような対策が取れます。

  • 頭金を多く用意して、融資の金額を減らす
  • 金融機関を変更する(審査基準は金融機関によって異なるため)
  • 価格の安い住宅に変更する
  • 現在支払中のローンなどを繰り上げ返済する
  • 夫婦共同でローンを組む
  • 銀行や信用金庫ではなく、知人などにお金を借りる
  • 一括で購入する

しかし、いずれの方法を取ったとしても異動情報が記載されている場合には、効果が期待できません。従って、まず異動情報の有無を確認することをおすすめします。
今回の相談者さんのように、自覚がなくても異動情報を確認すると滞納してしまっている借金が見つかることがあります。

ちなみに、今回の相談者さんは、ローン会社の担当者さんのすすめで、JICCという個人情報審査機関に問い合わせされています。

自分の異動情報を知りたい場合、JICCなど信用情報機関を通して開示手続きが必要です。

開示方法がいまいち分からない、複雑そうで不安…という方は、代行で信用情報を開示してくれるサービスもありますのでチェックしてみてください。

ポイント4
個人信用情報に「異動」が記載されていたら・・・

信用情報に「異動」が記載されていた場合、一般原則では債権者に借金を支払うのが原則です。ただし、今回の相談者さんのようにできるだけ早く住宅ローンを借りたい方の場合、完済後なかなかローンが借りられなくて困ってしまうことがあります。
というのも、個人信用情報機関での異動情報は、完済後も5年間履歴が残り続けてしまうためです。つまり、完済した後5年間、個人信用情報がきれいになるまで待たなければならないということです。

一方の時効援用のケースでは、債権者がどのような対応を取るかによって情報がどのように扱われるかはケースバイケースですが、時効が成立した後に、信用情報の延滞の情報が消してもらえることがあります。その場合、延滞の情報が最初からなかったかのように消えるので、すぐにローンを組めるようになる可能性があります。
完済の場合のように5年間情報が残り続けることもあるので、必ず時効援用をすれば大丈夫、というものではありませんが、少なくとも時効援用の手続きをした方が住宅ローンを新たに借りられる可能性は高まります

今回の相談者さんの場合、利息や遅延滞納金を除けば、借金の残高は5万円ほどでした。
利息をすべて含めても、多めに見積もって10万円くらいです。ですので、(その程度の金額なら、時効援用をするよりも支払った方が早いのでは・・・)と考える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、すぐに住宅ローンを組みた今回の相談者さんにとっては、時効援用で借金滞納の問題を解決することに大きな意義があったのです。後に詳しく紹介しますが、時効援用を申請した結果、住宅ローンを借りることに成功しました。

また、借金の金額が大きすぎてどうしても支払いできない方も、時効援用でトラブルを解消できる可能性があります。

ポイント5
時効の条件を満たしていない場合

民法上の時効は、必ず誰もが利用できるというわけではありません。時効が成立するためには、時効の条件があるためです。異動情報が残っていて、時効が利用できない場合は、完済しない限りはずっと「ブラックリスト」に入り続けるという状態が続いてしまうことになります。

非常に難しい対応が求められる状況ですが、可能性としては以下の対策が考えられます。

  • 相手方と交渉をして、債権額や金利の減額を頼む
  • 支払いを一括ではなく分割払いで対応する
  • 自己破産をする

ただし自己破産以外の方法は、相手方の同意が必要です。

また、自己破産をした場合には、事故情報が記録されるためさらに5年間もしくは10年間、住宅ローンが組めなくなってしまいます。

このように比較すると、時効援用のようにリスクが少なく、しかもすぐに住宅ローンが組める可能性のある法的な手段は他にないことが分かります。

ポイント6
審査は各金融機関が行っているということにも注意

勘違いされがちなポイントですが、個人信用情報機関は金融機関やクレジット会社などからの報告をもとに個人の信用情報を客観的に登録しているにすぎません。

住宅ローンの審査に通らないケースが生じると「個人信用情報機関のブラックリストに載っていたから」と考えてしまいがちですが、正確には「ブラックリストに掲載されているのを金融機関が見て、お金を貸せないと判断したから」ということになります。金融機関によって審査基準や金利などが異なるのも、それぞれが独自に審査し、契約条件を設定しているためです。

相談者さんの時効援用の結果

相談者さんから電話がかかってきたのは、時効援用の相談の電話から4か月ほどが経過した時のことです。「時効援用が成立して住宅ローンが組めるようになった」との電話がかかってきました。

あのー、先日は時効援用の手続きをサポートしていただきありがとうございました。手続きから4か月ですけど、手続きが無事に処理されたようです。

こんにちは。そうなんですね。良かったですね!債権者の方から何か連絡があったんですか?

ありがとうございます。いえ、特に債権者からは何の連絡もありません。ですので、途中少し不安だったんですけど、その時でも債権者から連絡がずっとない場合には手続きされていることが多いとおっしゃっていたので、3か月間、試しに待つことにしたんです。

そうだったんですね。待ってみて、結果が分かったんですか?

そうなんです。また、JICCに問い合わせを行いました。それで、注意して見てみたんですが、異動情報もきれいに消えていました。

異動情報が消えているなら、時効援用の手続きが無事に完了したということですね。良かったです。

ありがとうございます。さらに言えば・・・、昨日事前審査が通ったばかりなんです。実は、ついこないだまた希望の条件に近い物件が見つかりまして、そこで事前審査通してもらったんです。そしたら、事前審査も無事に通ったんです。相手方からの連絡がなかったから半信半疑でしたけど、時効援用の効果がようやく実感できました。

それなら一安心ですね。希望の物件が契約できるといいですね。

ありがとうございます。今日の午後からは住宅の下見に行ってくるんです。

それは楽しみですね!

ポイント解説その2

結果に関するポイントについていくつか解説します。

ポイント7
事前審査と本審査の違い

前述の通り、金融機関の住宅ローンに関する審査には事前審査本審査の2種類があります。契約前に簡易的に行うのが事前審査で、契約後に細部まで細かくチェックを入れながら行うのが本審査です。
今回の相談事例の会話では、仮審査が通過したという相談者さんに対して、スタッフさんが「それなら一安心ですね」と回答しています。

ですが、事前審査には通ったもののどうしても本審査が通らないというケースはないのでしょうか?

結論から言えば、事前審査には通ったものの本審査に通過しないケースはいくつかあります。具体的には以下のケースです。

  • 申告内容に虚偽の報告があった場合
    (給与の金額、勤続年数、勤務先の会社名、購入する住宅の金額など)
    ・・・本審査の場合には、ご自身の状況を示す書類の添付が必要なので、自己申告に基づいて行う事前審査とは異なる結果が生じるケースがあります。
  • 仮審査時と本審査時の状況が変化した場合
    (仮審査後に自家用車をローンで購入した、会社を退職したなど)
  • 健康状態が悪く、団信に加入できなかった
  • 住宅の評価額が低い
    (購入する住宅は担保になるため、調査を行った結果、評価額が低いと判断されてしまうと審査の結果に影響することがあります)

仮審査通過後に本審査に通らないケースはそれほど頻繁に生じるわけではありませんが、一応、以上のようなケースがあります。

ポイント8
時効援用の効果

時効援用の手続きが完了すると、相談者さんのケースのように法律上の支払い義務が消滅します。今回は、異動情報も消去され、すぐに住宅ローンも組める状態になっています。
さらに、この借金に関しては債権者から今後二度と請求されることはありません

時効期間が経過している場合でも時効援用を行っていない場合にはいつまでたっても債権者から督促状が届く可能性があります。時には裁判訴訟を起こされてしまう可能性もあります。また、うっかり督促に応じて一部でも支払いをしたり、返済の相談をしたりした場合には、時効期間はリセットしてしまいます。

つまり、時効期間が経過しているにもかかわらず、対応方法次第では状況が一変してしまうという非常に不安定な状況に置かれています。こうした不安定な状況は、時効援用手続きをしないことには安定しません。

「時効期間が経過したため、この借金に関しては支払いません」という意思表示を明確に、正しい方法で行うことが重要です。

まとめ

過去に消費者金融で行った借金が原因で住宅ローンが組めなかった相談者さんの事例を紹介しました。

今回の相談者さんは、時効援用手続きをしたことで個人信用情報機関の「異動」を削除してもらうことができ、結果として住宅ローンが組めるようになりました。
ポイントとしては、完済しても最大5年間残ってしまう異動情報に対して、時効援用の手続きを取ったことにより3か月前後で以上情報を消すことができたということです(3か月で消せるか否かは金融会社の対応次第です。場合によって5年かかることもあります)。

人生の中で最も大きな買い物である住宅購入の際に、ローンが組めるか否かということは住宅を購入できるか否かに直結するような大きな問題です。金額の大小に関係なく、「異動」が残っている場合にはローンが組める可能性はほとんどないので、ご自身の状況を確認し、ベストな対応を取るようにしましょう。

ローンや審査でお困りの場合はお早目のご相談をおすすめします。解決法が見つかるかもしれません。