時効援用サポートサービスの対応事例

~債権整理できれいにしたはずの借金が実は残っていたら?

こんにちは。
私は、一般の方々に向けて法律関係のトラブルや判例などを紹介したり解説したりする仕事をしています。法律問題といって普段は特に意識をしない方が多いと思いますが、法律を知っていることでいざという時に大きなトラブルを避けられる可能性があります。

例えば、完済して(あるいは法的な手続きを取って)きれいにしたはずの借金が、何らかの手違いか勘違いのために残っていることが分かったら・・・。結果的に、借金を長く滞納してしまうことになります。しかも滞納期間が長くなればなるほど滞納損害金が膨らんでしまい、気が付いた時に返済すべき金額が高額になってしまっていることもあります。

今回紹介するのはまさにそのようなケースです。

相談者さんは、債務整理によって借金返済をきれいにした後、12年間海外に移住されました。ですが、日本に戻ってきた時にふと気になって信用情報機関に借金の状況を調べてみたところ、異動情報が記録されていたそうです。信用機関の「異動情報」とは、つまり未払いの借金が残っているということを意味します。

そして、異動情報が残っているということは、クレジットカードやローンの契約などができないという大きなデメリットを招くことになります。こうした状況を打開するために、相談者さんは時効援用という手段を取ることにしました。

今回の進行中については、まだ結果が出そろっているわけではありませんが、同じような状況に陥っている方は対応方法がとても参考になるので、ぜひ紹介させてください。

時効援用の相談電話(相談者さんのプロフィール)

まずは、相談者さんのプロフィールについて紹介します。

今回の相談者さんは40代男性です。この10年ほどは海外での生活をメインにされていましたが、その前に日本にいた時に複数のカード会社や消費者金融で借金をしていました。複数の会社に借金をしたことで首が回らなくなってしまい、債務整理によって借金をいったんきれいにされることにしました。

相談者さんはそのまま仕事で海外に移住されたのですが、今回日本に帰ってきた時に確認をしてみたところ、借金が未返済の状態になっていたのです。

相談者さんのプロフィール
年齢 40代半ば
性別 男性
職業

会社員(外資系企業)

家族構成

単身

相談内容

12年前にカードローンや消費者金融での借金をした。1社あたりの借金額は20~50万円程度で、きれいに清算したと思っていた借金が少なくとも3社残っている状態。

相談者の要望

滞納情報が記録されている借金について、時効援用をしたい。

相談の
きっかけ

10年ほど海外で暮らしていたが、今回日本に帰ってきた際に確認したところ、異動情報が記録されていた。

今回の相談者さんからは、最初にメールで相談が届きました。その後、電話で詳しい内容を確認後に時効援用の手続きを進めることになりました。

その結果、確認できている3社のうち1件は時効援用手続きが完了しました。残り2件については、現在時効援用を申請して相手方から何の連絡もない状態です。そして、その他に残っている借金が存在しないかどうかについての確認も同時進行で進められています。

時効援用の相談内容(メール)

お世話になっております。

借金滞納の時効援用についての相談です

私は、12年ほど前に消費者金融やクレジットカードの支払いを滞納していました。その時の借金については、当時弁護士事務所に相談をして債務整理をしたはずなんです。そこで、元金や利息の調整、過払い金の請求をしてから清算をしたので私の借金は一切残っていないという認識でした。

その後、10年前から去年まで海外転勤だったので日本を離れていたんですが、私の個人信用情報を開示してみたら、借金の滞納記録が残っていることが分かりました。日本を離れていた間に新たな借金はしていません。

まだすべて確認できているわけではありませんが、滞納情報は何件かあるようです。(今の時点で少なくとも3社分あることが分かっています)

そこで、滞納情報が記録されている借金について、貴事務所にて時効援用をお願いすることはできますか?
電話でもメールでも構いませんので、お返事お待ちしています。

時効援用の相談内容(電話)

以上の相談をうけて、行政書士事務所から電話で詳細の確認を取りました。

失礼します。
この度は、メールでのお問い合わせありがとうございました。メールでご相談をいただいた内容に関して誠にありがとうございます。詳細を確認させていただいてもよろしいでしょうか?

あ、はい。ありがとうございます。よろしくお願いします。

今回は、まず12年前の借金が滞納のまま残っているとのことですが、それに気が付いたのはどういった経緯からですか?

はい。メールで書いた通り去年日本に戻ってきたんですが、今後はしばらく日本での滞在が続きそうなんです。
そこで、国内の会社のクレジットカードを作ることにしたんですが、審査が通りませんでした。その理由を調べるために、CICとJICCに信用情報を開示してみたら異動情報が残っていることが分かったんです。

異動情報が残っていたんですね。それは心当たりがあるものでしたか?

実は10年以上も前の情報なので、正確なことは覚えていないんですが確かに借金をしていたことは間違いなさそうです。それに、異動情報が登録されている会社も株式会社オリエントコーポレーションなどの、まあいわゆるしっかりした会社なので滞納情報そのものに不信感は特にありません。

そうですか。

はい。ですが、このまま・・・というわけにもいかないので、これを機に今度こそ漏れや手違いの内容に借金をきれいになくしたいと思っています。
全国銀行保証協会の信用情報については現在取り寄せをしている最中ですが、それで全て出そろうはずです。

確かに信用の事故情報を正確に把握するには、個人信用情報機関3社すべてに確認を取るのは大事ですね。それで、滞納情報に気が付いたということですね。そして、それらの借金は海外に渡航される前のものだから、10年以上前の借金だということですね?

はい。
今回も前回のように債務整理をしようと思ったんですけど、調べているうちに5年もしくは10年が経過した借金は時効援用により帳消しにできる可能性があると知りました。借金を完済するのが理想ですが、もし時効援用によって帳消しにできるならそういった方法も良いのかなと思いまして。

分かりました。確かに、時効援用は期間が経過した借金を帳消しにできる法律の制度です。
ちなみに、12年前の債務整理の内容を詳しく効かせていただいてもよろしいでしょうか?

はい。覚えている限りでは、弁護士さんに任意整理と過払い金請求手続きをしてもらいました。
利子や元本について債権者の方と交渉を進めてもらって、何とか支払いができる金額まで交渉をしてもらって・・・。そうして、交渉を詰めた後に一括で支払いを済ませました。

わかりました。過払い金の請求と任意整理をされたということですね。それで、きれいにしたはずの借金がどういうわけか残ってしまっているので、時効援用によってすべて帳消しにしたいということですね。
そうすると、今回時効援用が利用できるかどうかは、時効中断事由の有無が大きなポイントになると思います。

時効中断事由ですか?

はい。
借金の時効は5年もしくは10年で成立します。今回は、相手方が消費者金融やクレジットカード会社なので、時効期間は5年間になります。最終の返済、もしくは債務整理の後から5年間ということです。

はい。任意整理が成立してすぐにすべての清算をしたはずです。また、もしその債務整理自体が漏れていたとしたら、その借金の最終の支払いはそれよりも前、ということになるのでどちらにしても5年は確実に経過していると思います。

そうですね。ですので時効期間については問題なさそうです。ですが、借金の時効は期間がリセットされてしまうケースがあります。これを「時効の中断」というんですが、具体的には相手方から裁判訴訟を起こされてしまったケースや債務の承認をしたケースなどが時効の中断にあたります。

裁判訴訟や債務の承認ですか?

債務の承認というのは、借金の一部を支払ったり債権者に対して返済方法の相談をしたりすることです。借金が残っているということを借金した側の人が認めることですね。
今回、相談者様はずっと海外に行かれていたということなので、帰国後にクレジット会社や消費者金融会社と直接やり取りをされていないと思います。ですので、債務の承認での時効中断の可能性はないでしょう。

そうですね。債務整理の後は借金がないものと思ってましたので、一切直接のやり取りはしていません。

はい。でしたら、問題となりうるのは裁判を起こされたか否かです。支払いを命令する裁判訴訟を起こされた覚えはありませんか?

そうですね・・・。裁判を起こされた場合にはどのように連絡が来るんですか?

えー、その場合、裁判所からハガキや書面で通知が届きます。
通知に対しては反論することもできますが、通知を無視したり通知に気が付かなかったりした場合にはそのまま相手方の言い分のみで裁判が進められてしまいます。長期間に渡って海外に渡航されていたとのことですか、その間に裁判が進められている可能性がないとは言えません。

そういうことですね。
まあ、でも多分裁判を起こされていることはないと思います。私自身は海外に行きましたが、自宅には両親が残っています。両親とはメールや電話などで定期的に連絡を取っていましたが、裁判所からの通知については両親から一度も聞いたことがないので、多分ですけど・・・大丈夫だと思います。

かしこまりました。裁判訴訟さえ起こされていなければ、今回のケースでは時効援用できる可能性が高そうです。

わかりました。では、早速手続きをお願いしたいと思います。

ありがとうございます。当事務所の時効援用サポートは、1社あたり9,800円~でございます。今の時点で3社の未払い金が確認できているとのことですが、まずはこの3社から進めていくということでよろしいでしょうか?

はい。そうしたいです。
全国銀行保証協会の信用情報で万が一また別の支払い滞納が見つかった場合には、また追加でお願いしたいと思いますが、今わかっている分の時効援用手続きを進めていきたいです。

分かりました。
では、今回は信用情報を取り寄せられているとのことですので、その書面に基づいて時効援用を進めていきたいと思います。この電話の後に、メールかLINEで個人信用情報機関の「信用情報開示報告書」を送っていただいてもよろしいでしょうか?

はい。今、手元にあるので電話の後にすぐにお送りします。

ありがとうございます。その書類と身分証明書の写真を頂いたら、こちらで先生にサービスをお受けできるかどうかの確認を取ります。先生が対応可能だと判断した場合に、当事務所の口座情報をお伝えしますので、支払い手続きをお願いいたします。こちらで、入金を確認出来たら早速、時効援用通知書の作成に取り掛かります。時効援用通知書の送付までの期間はだいたい3営業日程度です。流れとしては、おおむね以上の流れになりますが、質問などはありますか?

わかりました。流れはわかったので、問題ありません。

電話相談のポイント解説

ここまでで、いったんポイントを整理します。

今回の相談には、以下の2点のポイントがあります。

  1. 債務整理(任意整理)
  2. 個人信用情報機関

以上についての詳細を解説します。

債務整理とは?

債務整理とは、借金を減額したり支払いを分割にしたりするなどの方法によって、借金の返済を楽にする法的な手段のことを指します。債務整理には以下の4つがあります。

債務整理1
過払い金請求

以前の消費者金融などでは、いわゆる「グレーゾーン」という不法な金利が設定されていました。

このグレーゾーン金利が適用され支払いすぎてしまった借金の返済を求めることを過払い金請求といいます。任意整理を行ったさいに、過払い金が発見されるケースもあります。

債務整理2
任意整理

任意整理とは、債権者(貸主)と元金や利息の減額や分割払いの相談をして、無理のない返済プランを改めて設定することです。裁判所を通さずに債権者と直接交渉をすることができますが、協議によって結論が決まるので債権者の同意が必要です。

債務整理3
個人民事再生

個人民事再生とは、現在の借金の返済が困難であることを裁判所に認めてもらい、減額された借金を分割して支払っていく方法です。住宅などの財産を残したまま、借金を減らすことのできる方法です。

債務整理4
自己破産

自己破産とは、現在の借金の返済が不可能であることを裁判所に認めてもらい、法律上借金の支払いを免除してもらう法的手段です。住宅を始めとした高価な財産は手放さなければなりませんが、自己破産後の収入は生活費に充てることができます。

12年前の相談者さんは、①過払い金請求と②任意整理によって借金をいったん返済可能なレベルまで減額してから、返済手続きを取られたということです。

債務整理は、借金返済の時にカギを握るケースも多く、時効援用の相談をされるお客様の場合でも時効援用が利用できない場合には債務整理のいずれかの方法で解決策を図るケースがほとんどです

なぜ債務整理をしたのに滞納情報が残ってしまったのか?

12年前の債務整理がきちんとされていれば、相談者さんはその時点で借金をきれいにでき、その後の滞納も生じなかったはずです。それにもかかわらず、滞納情報が残ってしまったのはなぜでしょうか?

2つの可能性が考えられます。

可能性1
債務整理をした借金とは別の借金が存在した

自己破産以外の債務整理は、借金1件ずつ個別に行います。債務手続きが漏れてしまっていて、そのまま借金が残り続けてしまった可能性が考えられます。

可能性2
債務整理をした後に残った債務(借金)の返済がされていなかった

債務整理をしても、自己破産の場合を除いて支払い義務がなくなるわけではありません。任意整理後の借金を完済して始めて、借金がゼロになります。

今回の相談者さんは、勘違いにより以上のいずれかの状態になっていたのではないかと考えられます。

債務整理後の時効援用とは?

いったん任意整理を行った後でも時効を援用することはできるのでしょうか?

例えば、債権者に利息をカットしてもらうなどの対応を取ってもらったにもかかわらず、時効だからといって借金を帳消しにするなんてことができるのか、疑問に思われることもあるかもしれません。

しかし、任意整理を行った場合も時効援用は可能です。その場合、任意整理手続き完了から5年間が新たな時効期間となります。

時効期間を確認する際には、時効の中断事由についての確認も重要です。具体的には裁判訴訟を起こされたり、債務の承認を行ったりした場合にはその時点で時効期間がリセットされるので注意しましょう。

個人信用情報機関とは

今回の相談者さんは、滞納情報を確認するために個人信用情報機関に確認をされています。個人信用情報機関とは、以下の3社です。

個人信用情報機関

  • CIC
  • JICC
  • KSC(全国銀行保証協会)

これらの3社は、貸金業者やクレジットカード会社からの情報に基づいて、個人の信用情報を登録している機関です。

3社はそれぞれ独立して情報を登録していますが、滞納情報などの重要な情報は3社で共有しています。従って、支払いの滞納や自己破産などの重要な事故情報がいったん登録されると、どの個人信用情報機関に確認を取っても時効情報(=異動情報)が登録されている可能性が高いです。

しかしながら、実はこれらの情報はすべて共有されるわけではありません

個人信用情報機関はCIC、JICC、KSCの三社しかないので、確実に信用情報を確認するためには3社の情報をすべてチェックすることが大切です。

今回の相談者さんも3社同時に信用情報の照会をかけられています。

個人信用情報の開示とは

個人信用情報機関では、情報開示により登録されている個人信用情報を確認することができます。開示する方法は、インターネットや郵送などがあり、個人信用情報機関によってそれぞれ手数料や開示方法などが規定されています。

例えば、CICでは「信用情報開示報告書」という名称の書面がインターネットや郵送で確認できます。

照会手続きを代行で依頼できるサービスもあります。不安な方は専門家に任せるのもおすすめです。

信用情報開示報告書には信用情報に関するあらゆる情報が記載されています。もし、支払いの滞納が生じている場合には、完済後5年間信用情報が記録され続けることになり、債権者の名称や借金の金額などが記載されます。

なお、個人信用情報機関は3社ともクレジットカード会社や貸金業者からの申請に基づいて登録を行っているに過ぎません。例えば、クレジットカードを作る場合の審査については、信用情報に基づいて個別にクレジットカード会社が判断します。従って、例えば審査に落ちてしまった理由などを個人信用情報機関に問い合わせても回答は得られません

それでも、信用情報には個人の信用に関する詳細情報が記録されているので、今回の相談者さんのように時効援用の手続きを進める際の債務を確認するために活用することもできます。

時効援用の結果と経過

今回の相談者さんは、相談の電話の後に早速CICとJICCの信用情報の結果とご自身の身分証を送付されました。そして、その内容に基づいて3件(クレジットカード会社での割賦契約1件、消費者金融の借金2件)を時効援用の手続きを依頼されました。

結果から言えば、クレジットカード会社の1件(227,000円)について時効援用が完了したということで相談者さんから行政書士事務所に連絡がありました。クレジットカード会社から時効援用手続き完了の連絡が届いたそうです。

時効援用の通知書送付から3週間ほどが経過したタイミングでしたが、その時点で残り2社からは何の連絡も入っていないということで、相談者さんは「このまましばらく様子を見てみる」とおっしゃっていました。

また、時効援用の電話相談の時点では届いていなかった全国銀行保証協会の情報開示についてですが、書類が到着して今回の3件の他には滞納記録が存在しないことが確認できたということです。

2件の結果が到着していない以上、心配にはなるものの1件が無事に完了したということでだいぶ気分的にも軽くなったと相談者さんはおっしゃっています。

まとめ

今回は、過去に債務整理をして借金をきれいに返済したと思っていたにもかかわらず、実際には借金の滞納情報が残ってしまっていたケースについて紹介しました。

ないと思っていた借金の滞納が見つかった場合には、精神的なショックが大きいことに加えて滞納損害金が高額になってしまっているケースもあります。見つかり次第対応をしなければ、滞納損害金が膨らみますます状況が困難になることもあります。

このようなケースでも時効援用という法律に基づいた制度を使って危機を回避できる場合があります。実際に今回の相談者さんのケースでは、1社既に時効援用が成立して法律上の借金返済義務が消滅しています。

また、今回の相談者さんのようにメールで時効援用の相談をするのもおすすめです。過去の借金についての相談を電話でするのは、気分的に敷居が高かったり考えがうまくまとまらなかったりすることもあると思いますが、メールであればそのような心配もありません。言い間違いや聞き間違いによる話の食い違いも避けることができます。