時効援用サポートサービスの対応事例

~督促状と仮執行 

こんにちは。
私は、一般の方々に向けて法律関係のトラブルや判例などを紹介したり解説したりする仕事をしています。日ごろ法律をあまり意識しない方が多いかもしれませんが、いざという時に法律が自分を助けてくれることもあるんです。しかし、法律について知らなければ、いざという時に泣き寝入りするしかなくなってしまうこともあります。

今回紹介するのは、借金の支払い滞納によって過去にいくつも裁判を起こされてしまった方の事例です。

彼が消費者金融数社から借金をしていたのは十数年前。支払い滞納により、何度か裁判を起こされてしまい裁判所から支払いをするように命じられたのですが、支払いができないまま時間が経過してしまったケースです。

10年以上が経過し、債権者側も諦めざるを得なかったのかしばらく請求書は届いていませんでしたが、裁判所から督促状が届いたということで、彼は借金を帳消しにするために時効の援用という法律上の制度を利用することにしました。
そして、その手続きを行政書士事務所にお願いすることにしました(相談を受けた行政書士事務所では、時効援用の手続きを行うサービスを行っています)。

まずは、彼の相談の内容から詳細をお伝えします。

そして最終的に彼は時効援用に成功することになるんですが、結果やその後の展開についても併せて紹介します。

時効援用の相談電話(相談者さんのプロフィール)

まずは、相談者Aさんのプロフィールについて紹介します。

相談者は30代男性の単身の方です。社会人になってまだ2、3年という若い時期に遊ぶお金欲しさに消費者金融でお金を借り、借りる先が2社・3社と増え・・・結局、ほとんどが返せないという事態に陥ってしまいました。その時点で、いくつかの消費者金融から裁判を起こされ裁判所から支払いをするように命じられたのですが、その直前に仕事を辞めてしまったこともあり支払うこともできず、財産も持っていない状況でした。

相談者さんのプロフィール
年齢 30代後半
性別 男性
職業

会社員(現在5年目。借金をいくつも滞らせてしまったことを反省し、現在は遊びにお金を浪費することもなく、堅実に仕事をされています)

家族構成

単身

相談内容

10年以上前に複数の消費者金融から借金をしています。何度か裁判を起こされていますが、1件ごと個別に起こしているわけではありません。

相談者の要望

支払いをしたいのはやまやまだが、10年以上前の借金ということもあり、利息がかなり大きくなっている。過去の借金などによる苦しい生活からようやく生活が整い始めたばかりで、返済額を用意するのは非常に厳しい。

相談の
きっかけ

裁判で負けたものの借金の取り立ては次第に頻度が少なくなり、この数年は債権者からの連絡もないという状況が続いていたが、突然簡易裁判所から督促状が届いた。督促状には、滞納している請求額を支払うか、もしくは異議の申し立てをしなければ仮押さえを執行する可能性があると記載されていた。

そこで、Aさんはインターネットで情報を調べ時効援用の手続きを取ることで、借金を帳消しにできるかもしれないと思い、行政書士事務所に時効援用についての相談電話をされることになりました。

では、電話の内容を見ていきましょう。

時効援用の相談内容

あの、時効援用の相談で電話をしたんですが・・・

ありがとうございます。どのようなご用件でしょうか?

はい。私は、何件か借金の滞納がありまして・・・。
もう十年以上も前の借金だったのでしばらくは請求書も届いていなかったんですけど、この間簡易裁判所からオリンポス債権回収株式会社の請求に関する督促状が届いたんです。督促状と一緒に異議申し立て書も入っていて、異議申し立てをしなければ強制執行をする場合があると書かれていました・・・

督促状と異議申し立て書が届いたんですね・・・いつのことですか?

請求書が届いたのは1週間前です。このまま2週間が経過してしまうと、また裁判を起こされるということなので、裁判になる前に何とかしたいと思ってまして、そこで時効を援用できないかと思ったんです。

そういうことですね。ちなみに、「また裁判を起こされる」とのことですが、以前にも裁判を起こされたことがあるんですか?

はい。何度か裁判を起こされたことがあります。
10年以上前のことですが、その時は裁判に負けて裁判所から支払いをするように命じられました・・・。
ただ、正直なところ借金がいくつかあって、以前の借金が今回届いた督促状の案件かどうかは覚えていないんです。今回請求されている借金以外にもいくつかそのまま未納になっている借金があるんです。
どちらにしても、過去に起こされた裁判の時には、仕事も辞めてしまっていて結局支払いができないからそのまま無視してしまったんです。ですので、他の借金に関しても一つひとつ滞納情報をきれいにしていかないといけないなと思ってます・・・・。ただ、このオリンポスから届いている請求が金額も一番大きくて、異議申し立ての期日も迫ってるので、まずはこの借金を何とかしたいと思ってまして・・・

分かりました。裁判を起こされた場合には、判決がおりた時点で時効がリセットされます。時効が援用できるのは、裁判を起こされて判決がおりてから10年以上経過していないといけませんが、裁判を起こされたのは10年以上前のことですか?

はい。11年前のことです。

11年前でしたら、問題ないですね。
ちなみに、裁判の後に、借金の一部の支払いをしたり、支払い方法や金額の返済をしたり、強制執行されたりした場合にはその時点で時効期間が再びリセットされますが、そういったことはありませんか?

はい。この請求に関しては、裁判の後全く何の連絡もありませんでした。それだけに今回督促状が届いてびっくりしたんですけど・・・

分かりました。
今回、督促状を無視してしまうと債権者が裁判を検討しているということなので、今のお話の通りの状況であれば早急に時効援用の手続きを進めた方がいいですね。

裁判を起こされてしまったら、やっぱり時効援用が申請できなくなるんですか?

裁判所から支払いをするように命令されてしまったら、時効が成立するまでには判決から10年間経過しないといけません。ですので、今回届いている督促状の異議申し立てと同時に、時効援用を申請するのがベストではないかと思います。繰り返しになりますが、もし裁判を起こされてしまったら、時効期間が中断してしまうので。

わかりました。異議申立期間が2週間と書かれていたので、あと1週間以内に時効援用の手続きをしなければならないということですね。今から時効援用のサポートをお願いしても間に合いますか?

はい。必要な書類を揃えていただけたら、なんとか2日間程度で時効援用の申請ができるように手続きしますので、まだ間に合います。
まずは、相談者様側にて督促異議申立書の作成を進めてください。そして、当事務所宛にご自身の身分証と今回の督促状を送ってください。送付方法は、メールもしくはLINEで大丈夫です。あと、当事務所にご依頼いただく場合には、1社あたり9,800円~の費用をご用意いただくことになります。
免許証などの身分証と今回の督促状を後ほどメールかLINEで送っていただくことは可能でしょうか?

はい。書類はすべて手元にありますし、お金も用意できます。督促異議申立書の書類もこちらで作成します。督促異議申立書の作成方法で注意点はありますか?

督促異議申立書については具体的なアドバイスはできませんが、異議の理由について「時効援用のため」と記入するケースが多いです。この時に、「分割払いについて債権者と協議する」などの項目を選んでしまうと、時効援用の手続きができなくなってしまうことがあるので、書類の書き方には注意が必要です。

そうなんですね。督促異議申立書については自分でも調べて記入してみます。

お願い致します。
あと、何件か借金の滞納があるとのことでしたが、そちらの時効援用手続きも希望されますか?

そうですね。順に進めていきたいと思いますが、ちょっといくつかあってぐちゃぐちゃになってますのでとりあえず今は、今回督促状が届いているオリンポス債権回収について手続きを進めたいと思っています。もし、他の業者の借金について時効援用の手続きをする場合には、それぞれ費用がかかるということですよね?

そうです。

でしたら・・・、やはり最初は1社のみで依頼させてください。ちょっと今月ピンチでもあるので。他の借金については、情報を整理しながら、少し経済状態が落ち着いた時に改めて依頼したいと思いますので。

わかりました。では、まず1件の時効援用について当事務所にご依頼いただけるということでよろしいでしょうか?

はい、お願いいたします。

ありがとうございます。では、先ほどお伝えした身分証、今回の督促状をメールかLINEで送付してください。こちらで先生に一度確認して、時効援用サポートの対応をさせていただけると判断した場合には料金支払い手続きの案内をいたします。そして、料金を支払いいただいてから、時効援用申請書の作成と郵送の準備をこちらでスタートします。

分かりました。

今回は時間が限られているので、速やかに対応していただけると助かります。逆にいえば、スムーズに対応していただけたら、今日お話ししていただいた内容に間違いがない限り時効援用の手続きができますので。

はい。今、ようやく生活が落ち着いてきたところなので、これを機に生活を立て直せるようにしっかりしたいと思います。

このような状況下では、異議申し立てが出来る期限が定められているため、早急な対応が非常に大事になってきます。

電話相談のポイント解説

ここまでで、いったんポイントを整理します。

今回の事例では、相談者さんが一度過去に裁判を起こされている事例です。
そして、時間が経過して改めて督促状が届いて、裁判に応じなければ仮執行をし、裁判を起こされてしまうというケースです。

ポイント1
時効援用について

時効援用とは、時効期間を経過した借金などの支払いに関して、時効の経過を理由として支払い義務を帳消しにする民法上の制度です。

ポイント2
仮執行につて

仮執行未確定の判決に対して執行力を与える制度です。

仮執行宣言の申し立てをされると、簡易裁判所から債務者(今回のケースでは相談者)に支払い命令が届きます。支払い命令が届いたにもかかわらず支払わない場合には、債務者は債権者の財産を強制執行することができます。
仮執行がされた後は、債務者(相談者)の言い分は聞き入れられません。

現状の法律では、仮執行宣言がされた時点で時効は中断します(この際の時効期間は、仮執行宣言の書類到着の2週間後から10年間です)。なお、2020年4月1日から法律が改正され、仮執行は時効中断の事由ではなくなりますが、いずれにしてもその後強制執行の手続きをされてしまった場合には時効が中断します(強制執行手続きから10年間)。

いずれにしても仮執行が宣言されてしまうと時効援用手続きを進めるにはかなり不利になってしまうということです。

ポイント3
督促状について

督促状が届くと、(支払いをしないとヤバい・・・)と大きなプレッシャーを感じずにはいられません。しかし、督促状自体には法的な効力はありません。例えば、督促状が届いたからといって時効が中断してしまうなどの効力はありません。
ただし、焦って債権者に連絡をとり支払い期日や支払い方法について相談をしてしまうとその時点で時効期間が中断してしまうので、冷静な対応が必要です。

また督促状を無視して仮執行・強制執行をされてしまった場合には時効期間が中断することに加えて、不利な条件で支払い命令が下される可能性もあるので、督促状を無視することはとても危険です。

ポイント4
督促異議申立書について

簡易裁判所から督促状が届く時には、同時に督促異議申立書のフォーマットも同封されていると思います。

督促異議申立書のフォーマットは統一されているわけではありませんが、「債権者名」「債務者名」「住所」「電話番号」などに加えて今後の支払いに関する項目も設けられています。

上の見本の例では、「分割払いについて債権者との話し合いを希望します。」「その他」と枠で囲まれた部分です。ここで「その他」をチェックして時効援用を申請する旨を記載しましょう。フォーマットによっては、「その他」の項目がないケースもありますが、「話し合いを希望します」にチェックをした場合、債務を承認することになり時効期間がリセットされてしまう可能性があるので要注意です。

ポイント5
支払督促の異議申し立てについて

今回のケースのように支払督促が送達された場合、異議申し立てをしなければ仮執行宣言が付される場合があります。

異議申立期間は、債権者が書類を発送した翌日から2週間以内と定められています。支払督促は、債権者側のみで作成される書類ですが、異議申し立てをしなければ支払督促が確定した判決と同様の効力を持つことになります。

異議申立を行えば、通常の訴訟に移行して債権者に対して主張することができます。しかし、その後裁判を起こされて敗訴してしまった場合にはやはり強制執行などを起こされてしまうリスクがあります。

ポイント6
強制執行について

仮執行の後に強制執行をされてしまった場合、債務者(今回の件では相談者)は強制的に借金の返済をしなければならなくなります

よくあるケースとしては財産や給与を差し押さえられてしまうケースです。

強制執行は文字通り強制的になされるので、債務者の事情は考慮されません(例えば、給与の場合は「手取り額の4分の1まで」という法律上の規定はあります)。強制執行がされると、生活の立て直しが困難になることや、勤務先に借金の滞納がバレてしまうといった大きなデメリットがあります。

ポイント7
時効援用の相手について

今回のケースでは、相談者にはいくつかの借金滞納がありますが、とりあえず1件のみ時効援用の手続きをするということです。

例えば、自己破産の場合などは宣言をすればすべての借金に対して効力が生じますが、時効援用は1社ごとに手続きを行わなければなりません

複数の借金がある場合には1件1件対応するのは少し大変なこともありますが、条件を満たしたものから順に時効援用を申請することもできます。

ポイント8
債権回収代行業者(オリンポス債権回収株式会社)について

今回、相談者の元にはオリンポス債権回収会社から請求書が届いています。オリンポス債権回収株式会社は、債権回収代行業者の一つです。

相談者が借金をしたのは消費者金融業者ですが、債権回収代行業者であるオリンポス債権回収株式会社が元々の債権者に代わって料金回収を代行しているということになります。

このように、借金をした覚えのない業者から請求書や督促状が届くこともあります。

ポイント9
時効期間について

時効援用が申請できる時効期間は基本的に5年もしくは10年間です。

基本的に消費者金融やキャッシングなどの営利企業からの借金に対しては民法の5年間、友人や知人からの借金や奨学金など非営利目的の借金は10年間の時効期間となります。ただし、裁判が起こされた場合は、裁判判決が出されてから10年間が時効期間となります。

時効援用の結果と経過について

今回の相談者の時効援用の結果ですが、無事に時効援用手続きが完了しました。行政書士事務所から時効援用通知申請書を送付してから数日経過した時に、相手方からの裁判取り下げの連絡があったのだそうです。

裁判取り下げの連絡は、相談者さんのところに書面(郵送)で届きました。書面には、「時効援用の申請を認める」との記載がありました。さらにその数日後、相談者さんの元には債権者から債務不在証明書も届きました。

結果的に十年以上にわたって続いていた借金が1枚の時効援用通知書によってきれいになくなったのです。申請しないまま督促異議申立期間が経過していた場合には、強制執行されていた可能性もあるので、ギリギリのところで対応が間に合ったということができます。

今回の相談者の場合は、他にもいくつか借金がありましたがこの結果を受けて他の債務についても時効援用手続きを一つひとつ進められています。

相談者さんは、借金の滞納がいくつかあったがために信用情報にキズが付いている状態、いわゆるブラックリストに載っている状態になっています。信用情報にキズがあると、ローンが組めなかったりクレジットカードの審査がほとんど通らなかったりといったデメリットがあります。

今回の相談者さんも、ローン契約やクレジットカードの契約は諦められていたんですが、時効援用に成功したことで今はクレジットカードを作ることを目標にその他の債権の時効援用手続きを進められています。

信用情報をきれいにするには、すべての借金を完済するか、今回のように時効援用手続きをして1件ずつ滞納情報をきれいにする必要があります。事故情報は債券会社に5年間残るので、支払いを完済しても5年間は審査に通りにくい状態が続きますが、時効援用を申請した場合は完済するより早く3か月程度で信用のキズが消えるケースもあります

複数の債権者に対して時効援用を申請するときに相談者さんが気を付けられているのは、それぞれの時効期間です。

途中で支払いの実績や返済方法の相談をしてしまった場合には時効期間がリセットされてしまいます。また裁判を起こされた時期によっては、まだ時効期間が経過していないという可能性もあります。

ケースごとに慎重に時効期間を確認していかないと、結果的に時効援用が主張できないだけではなくストップしていた借金返済の取り立てが激しくなる可能性も考えられます。時効援用の手続きをする際には、慎重かつ迅速に手続きを進めるのが大切です。

まとめ

借金を滞納してしまった場合の最も大きなデメリットは、信用情報にキズがついてしまってローンやクレジットカードの審査が降りにくいことと、強制執行をされてしまう可能性があることではないでしょうか。例えば給与の差し押さえをされてしまった場合に、一生懸命仕事をして生活を立て直そうとしているところに、借金の存在が会社側に知られてしまうのは心情的にも非常に辛いことですよね。

こうした状況に陥らないためには、督促状が届いた時にそのまま放置しないことが大切です。督促異議申請書を期日内に返送して、対策を取りましょう。

今回のケースでは、時効期間が経過していたので時効援用によって仮執行、強制執行の危機を免れることに成功しました。時効援用は借金を帳消しにできる法律上の制度です。そんな便利な制度があるのかと不安に思われるかもしれませんが、民法・商法に規定されています。

今回の相談者の方のように複数の借金がある方でも、条件さえ満たしていれば1社ずつ申請すれば問題ありません。

借金が残ったままになっていると、心情的にもいつ取り立てが来るのかと常にどこかビクビクしながら生活することにもなりますし、経済的にもクレジットカードが作れない、ローンが組めないなどのデメリットが生じてしまいます。

督促状が届いてしまってからは二週間という期日もあるので、同じような状況に陥っている方はスピーディーな対応が取れるよう今回の相談者の方をぜひ参考にしていただけたらと思います。

また、この相談者さんでもそうですが、行政書士事務所や弁護士事務所、司法書士事務所などでは時効援用の手続きをサポートするサービスを実施されています。スピーディーな対応が必要な時にはなおさらこれらの法律の専門家のサービスを検討してください。