法テラスの時効援用にかかる費用と書類!建て替え制度もある

法テラスとは総合法律支援法により設立された、法律関係の総合支援窓口です。
例えば、借金は一定期間返済をしていないと、返済が不要になります。ただ、これには「時効援用」と呼ばれる手続きが必要となり、一般の方では分からないことが多いです。
そこで法テラスでは時効援用など法律関係の手続きのサポートをします。
今回は、法テラスとはどのような組織なのか、時効援用にかかる費用と書類についてご紹介しましょう。
時効援用についてはこちらでまとめています。
目次
「法テラス(日本支援センター)って何?」

「法テラス」という窓口を耳にした方は多いと思います。しかし、ではどのような組織なのか聞かれると正確に答えられないのでは?
そこで、まずは法テラスの基本知識についてご説明しましょう。
法テラスは総合案内所
法テラス(日本司法支援センター)とは2004年に公布された総合法律支援法により、2006年に設立された法務省所管の公的法人です。
「法律関係の総合案内所」との認識でおよそ合っているでしょう。
法テラスの目的は「国民が法的なトラブルに対して必要な情報、各機関からのサポートを受けられるようにする」ことです。
これは民事、刑事に関わらずあらゆる法的なトラブルを対象としています。
法テラスの業務内容
法テラスの業務は主に6つに分けられます。
法テラスの業務内容
- 情報提供業務…法制度に関する情報を提供する
- 民事法律扶助業務…経済的に余裕のない方に向けて法律相談をする
- 司法過疎対策業務…身近に法律家のいない地域に地域事務所等を設置する
- 犯罪被害者支援業務…犯罪被害者の方や家族に必要な支援をする
- 国選弁護等関連業務…国選弁護人の選定や契約手続きをする
- 委託業務…法テラスの本来の業務範囲内で業務委託を請け負う
法的なトラブルに巻き込まれたとき、まず法テラスに相談すれば担当者が適切な対応策を提案してくれます。弁護士や司法書士など、必要に応じて法律家への橋渡しもしてくれるので安心です。
法テラス利用の流れ
法テラスへのお問い合わせは3つの窓口からできます。
法テラスへの相談費用は無料です。
ただし、サポートダイヤルには通話料(固定電話は全国一律8.5円/3分、携帯電話は10円/20秒、公衆電話は全国一律10円/1分)がかかります。相談内容を明確にしてから相談するのがおすすめです。
法テラスに依頼したときの時効援用の費用と書類


先生!時効援用したいのですが、法テラスに相談すれば無料になるって本当ですか?

ちょっと違いますね。確かに法テラスは無料ですが、時効援用の手続きまではしてくれませんよ。
法テラスはあくまで法的なトラブルの総合案内所です。法テラスがトラブルを直接解決してくれるわけではないので注意しましょう。
では、時効援用を依頼したときの費用と書類をご紹介します。
時効援用の費用
法テラスに借金等の時効援用を相談すると、司法書士などの提携している法律家が紹介されます。先述した通り、法テラスへの相談費用は無料ですが、司法書士など法律家には費用がかかります。
例えば、ある司法書士事務所の時効援用の費用は30,000円(税込)+実費2,000円前後です。
時効援用の手続きで30,000円程度というのは比較的安値と言えます。
時効援用の書類
借金等の種類にもよりますが、5年または10年以上返済していないものは時効が成立しています。
ただし、時効が成立していても、時効援用の手続きをしないと返済義務は不要にはなりません。また、手続きは個人でも可能ですが、適切に書類を揃えるためにも法律家に任せるのが安心です。
司法書士など法律家に時効援用の手続きを依頼するとして、主に以下の書類等を求められます。
- 借入先や借金額が分かるもの
- 督促状や通知書など
- 印鑑や身分証明書など
時効援用の詳しい手続き方法や費用相場はこちらにまとめています。
法テラスや法律家に相談する前にまずは確認しておくといいでしょう。
法テラスには着手均等の費用の立て替え制度が


先生!法律家に手続きを依頼したいのですが、そのための費用さえありません…。

安心してください。法テラスに相談すれば費用等の立て替えをしてくれる場合がありますよ。
時効援用を利用したい方、5年または10年以上返済できない方は経済的に困っているはずです。では、もし費用を準備できないときはどうすればいいか?ここからは建て替え制度について見ていきます。
法テラスが立て替えてくれる
時効援用の手続きは司法書士など、法律家に依頼すると1件あたり30,000円前後します。
一般的な経済状況であれば十分に準備できる費用ですが、経済的に困窮している状況では難しいです。
そこで、法テラスには経済的に余裕がない方に対して「建て替え制度」があります。
建て替えには一定の審査があるものの、条件をクリアすれば書類作成や代理手続きにかかる費用の建て替えをしてくれるのです。
これは時効援用や自己破産などの申請にも対応しています。
ただ、あくまで費用の「建て替え」なので、法テラスに一括または分割で返済することが必要です。
法テラスの立て替えの審査基準
法テラスが立て替えてくれるかの審査基準は以下の3つです。
審査基準
- 資力が一定額以下であること
- 勝訴の見込みがないとはいえないこと
- 民事法律扶助の趣旨に適していること
資力とは月収や保有資産のことで、以下に基準をまとめてみました。
- 基準①
- 月収の基準
単身者 |
2人家族 |
3人家族 |
4人家族 |
182,000円以下 |
251,000円以下 |
272,000円以下 |
299,000円以下 |
- 基準②
- 保有資産の基準
単身者 |
2人家族 |
3人家族 |
4人家族 |
1,800,000円以下 |
2,500,000円以下 |
2,700,000円以下 |
3,000,000円以下 |
また、勝訴の見込みがまったくないもの、例えば時効援用であれば時効までの期間に至っていないものは立て替えてくれません。
さらに、宣伝活動や報復感情、権利濫用のための利用も対象外となっています。
法テラスに立て替えの申請をするときには、なぜ手続きをする必要があるのか理由を聞かれるので注意しましょう。
まとめ

法テラスは総合法律支援法により2006年に設立された法的なトラブルの総合窓口です。
法テラスへの相談費用は無料。法的なトラブルであれば民事、刑事に関わらず誰でも相談できます。もし法的なトラブルに悩まされているのなら、まずは相談するのがいいでしょう。
もちろん、借金等の時効援用に関係した相談も法テラスでは受け付けています。
ただし、法テラスはあくまで相談や法律家への橋渡しをする窓口です。法律家への相談、手続きには別途費用がかかるので、確認してから依頼することをおすすめします。
どちらにせよ一人で抱え込まずに、まずはお早めに専門家へ相談してみましょう。