2019.07.11更新

債権の時効とは?債権を理解すれば時効援用が分かる!

債権の時効とは、例えば貸金業者が借主に対して「お金を返してください」と請求する権利が、一定期間経つことによってなくなってしまうことです。
正確には、お金を借りた人(債務者)が時効援用という手続きをすれば、金融業者(債権者)の債権は消滅します。

時効援用や借金の契約書などには債権や債務といった用語が頻繁に登場しますが、これらの用語を理解するとともに債権の種類について把握することでご自身の契約状況を正確に判断できます。その結果として、債権者からの借金の督促に対しての適切な対応を取れるようになります。

今回は、債権と時効の関係についての解説を行います。
債権とは何かを把握することで、時効援用とはどのようなものかをより正しく理解できるようになるでしょう。

債権って何?

法律に関する用語はややこしいものが非常に多いので、インターネットで時効について調べているときに内容が分からなくなってしまうことがあるかもしれませんね。

ここでは、まず債権とは何かということをかみ砕いて解説します。

債権と債務

債権は債務とペアになっていて、裏表の関係になります。契約をすると、必ず当事者同士は債権もしくは債務、あるいは債権と債務の両方を持つことになります。

  • 債権・・・相手に対して特定の行為をしてもらう権利
  • 債務・・・相手に対して特定の行為をする義務

債権と債務は借金の例で考えるととてもイメージしやすいです。

Aさんが貸金業者に借金をしている場合、貸金業者はAさんに対して「お金を返済してください」と要求する権利(債権)があります。反対に、Aさんは貸金業者にお金を返済しなければならない義務(債務)があります。これらの権利と義務が債権と債務です。

債権者と債務者

債権者」「債務者」という用語もよく使われます。

お金を貸している人と借りている人、どちらを指しているのか混乱してしまうこともあると思いますので、整理しておきましょう。

借金返済のケースでの債権者と債務者

  • 債権者・・・債権を持っている人のことです。
    借金返済のケースでは、お金を貸している貸金業者やキャッシング会社を指します。
  • 債務者・・・特定の行為をしなければならない人のことです。
    お金を返済・借金返済のケースでは、お金を借りた人のことです。

債権・債務って聞くだけで、法律って感じがして頭がこんがらがってしまうんですよね。

債権は権利、債務は義務とそれぞれ漢字が入っているので、そこからイメージするといいかもしれませんね。

債権の時効~債権の種類によって時効は変わるの?

債権には時効があります。
時効が成立すれば、法律上借金が帳消しになります。

債権の時効

当事者間に債権と債務が存在する限り、義務と権利は存在し続けます

借金のケースで説明すると、債権者は債権が存在する限り「お金を支払ってください」と言える権利があり、債務者はその要求に応える義務があります。債務が履行されるまで、債務者の元に督促状が届く、支払いの催促の電話がかかってくる、裁判訴訟を起こされるなどの債権回収の手続きがとられる可能性があります。

しかし、債権には時効が定められています。債務者は一定期間が経過すると債権の時効を主張して消滅させることができるのです。 一般の債権の時効は10年です。

債権が消滅するということは、お互いの義務と権利が消えるということですので、借金を帳消しにできるということになります。督促状が届いたり、裁判訴訟を起こされたりしなくなります。

債権の種類と時効

一般的な債権は10年と記載しましたが債権の種類は様々で、債権の種類によって時効期間は異なります。具体例を紹介します。

債権の種類と時効期間

  • 飲食店や旅館などの代金、タクシーなどの運賃…1年間
  • 弁護士報酬など…2年間
  • 病院の診察料、不法行為による損害賠償請求…3年間
  • 一般の商事債権(消費者金融からの借金やカードローンを含む)、マンションの家賃、管理費…5年間
  • 確定判決、調停、和解に基づく債権…10年間

商事債権とは、商人(営利企業)の行為に基づく債権のことです。

消費者金融やキャッシング会社、銀行などの営利目的の貸金業者からお金を借りている場合は5年の時効期間が適用されるということになります。

一方、友人から個人的に借金をしている場合や農協や信金などの非営利の個人や団体からお金を借りた場合は一般債権の時効期間10年が適用されます。

法改正により短期時効は変更に(2020年4月1日~)

2020年4月1日より、改正民法が施工されます。民法の条文の内容が一部変更になるということです。

この改正民法において、時効の種類による短期時効の規定はなくなり、債権者が「権利を行使できると知った時から5年」に統一されます。

債権の種類に関係なく、基本的に時効期間が5年に統一されるということです。

債権を消滅させるには時効援用手続きが必要

時効期間が経過したからといって、無条件に債権が消滅するわけではありません。

債権を消滅させるには、時効援用という手続きをする必要があります。時効援用とは、「時効期間が経過したので支払いません」という意思表示を債権者に対して行うことです。

時効援用の手続きは、債務者本人が時効援用通知書を作成して送付するか、弁護士、司法書士、行政書士の法律事務所に手続きを依頼するかのいずれかによって行うことができます。時効援用の手続き方法についてはこちらで解説しています。

また、時効期間は一定の行為(債権者からの裁判訴訟、差し押さえ、債務者による債務の承認など)によって中断します。時効が中断すると、時効期間はリセットされてしまうので5年(もしくは10年)以上前の借金でも時効期間が経過していない場合があります。時効の中断については、こちらで詳しく解説しています。

借金が帳消しになるというのは、債権と債務が消滅するということなんですね。

そうです。債権と債務はセットなので、「お金を支払ってください」という権利が消えれば、「お金を返さなければならない」という義務も一緒に消えるんです。

不安な方はこういった専門の事務所に手続きを依頼することをおすすめします。

まとめ

債権とは、契約の相手方に特定の行動をしてもらう権利のことです。そして、債務とはその要求に応じる義務のことです。

債権が存在する以上、債権者は支払いの督促をはじめとした「お金を支払ってもらう権利」を行使しようとしますが、債権には時効があります。時効期間が経過し時効援用の手続きに成功すれば、債権と債務が消滅し、法律上借金の支払い義務がなくなります

債権の種類、つまり債権者の属性や契約の目的によって時効期間が異なりますので(2020年4月の改正民法が適用されるまで)、ご自身の債権の種類について照らし合わせてみてください。

もし条件を満たしているなら、時効援用の手続きによって生活の立て直しを図る方法があるかもしれませんよ。放置していても勝手に解決されることはありませんので、お早目にお手続きすることをおすすめします。