2019.07.11更新

借金の時効期間は5年?10年?改正のポイントも解説

借金の時効は、5年もしくは10年です。また、2020年の民法改正によりほとんどの借金の時効が5年になります。時効期間経過後に正しく援用を申請すれば時効が成立し、法律上借金を帳消しにすることができます。今回は、時効期間の具体例を紹介しています。

また、時効期間に関しては、細かい規定の確認もしておく必要があります。時効期間はいつから起算されるのか、どのようなケースで時効が中断されるのか、時効を中断されないためにはどういうことに気を付ければよいのかなどです。

今回の記事を参考に、ご自身の借金が帳消しにできるかどうかを確認してみてください。

借金と時効期間(2020年4月の改正前の時効)

借金と時効期間は5年、もしくは10年です。
5年か10年かは全く異なりますので、まずはどちらの時効が適用されるかについて照らし合わせてみてください。

借金の時効期間とは5年もしくは10年

借金の時効期間を規定する法律は、2つ(民法167条と商法542条)あります。

該当箇所を抜粋すると、以下のように規定されています。

第167条

1. 債権は、十年間行使しないときは、消滅する(民法)

第522条

商行為によって生じた債権は、この法律に別段の定めがある場合を除き、五年間行使しないときは、時効によって消滅する(商法)

借金の法律上の支払い義務は5年もしくは10年で消滅する、ということですね。

相手が営利目的か否かで適用される法律が異なる

民法について簡単に説明すると、人と人との間の権利や義務について定める法律です。それに対して商法民法の中でも商行為(営利行為)について定めた法律です。

最も分かりやすい例でいえば、友人や知人から個人的にお金を借りた場合には民法の10年時効が適用され、消費者金融からの借金やカードローンについては商法の5年時効が適用されます。

「お金を借りる」という行為は同じでも、相手方が「商行為」として営利目的で行っているかそうでないかによって、適用される法律が異なるということです。

ポイント1
5年時効になるケース

5年時効が適用される借金は以下の通りです。

  1. 消費者金融での借金(借り入れ)
  2. 銀行での借金、カードローン
  3. 店舗を運営するために信用金庫から借りたお金
  4. 保証協会から借りたお金
ポイント2
10年時効になるケース

一方10年時効が適用される借金の具体例は以下の通りです。

  1. 農協や信用金庫から私用のお金を借りた場合
  2. 非営利の奨学金(日本学生支援機構など)
  3. 住宅固定金利住宅ローン(フラット35)
  4. 友人や配偶者からの借金

借りる相手や目的によって時効の期間が変わるのは、ちょっとややこしいですね。

実は、2020年4月から時効に関する規定が大きく変わるんだ。次の章で、改正後の時効について解説します。

借金と時効期間(2020年4月の改正後の時効)

民法の時効の規定は2020年4月1日以降改訂されます。民法の時効期間が原則5年になり、商法の規定は撤廃されます。

その詳細について解説します。

改正後の時効規定

2020年4月1日以降、時効に関しては以下の規定が適用されます。

第166条 1.

債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき

つまり、民法でも借金の時効期間が、債権者が借金返済の権利を持っていることを知らないケースを除いて、5年に変更になるということです。

2020年4月1日以降はいつから適用?

改正民法の施工は2020年4月1日からですが、適用時期について注意が必要です。

2020年3月31日までの契約については旧民法が適用されるためです。新しい時効が提要されるのは、2020年4月1日以降の契約分からとなります(あるいは、2020年4月1日以降に時効が中断した案件)。

しばらくは新旧両方の時効規定が併存することになるため、契約時期についても把握する必要があります。

時効期間がシンプルになって、しかも期間が短くなるのは嬉しいことですね。

改正前も借金の時効期間はほとんどが5年だけど、改正後は時効期間に関して迷うポイントが一つ減りますね。

借金の時効期間経過に関するポイント

時効期間の経過に関して、確認しておきたいポイントを他にもいくつか解説します。

時効の起算はいつから?

時効の起算は、元々の契約の返済期限の有無によって変わります。

時効の起算

返済期限が設けられていない借金

借金を借り入れした翌日が時効の1日目です。

返済期限が設定されている借金

返済期限の翌日が時効の1日目です。

時効の中断に注意

返済の支払いを行った場合や債務の承認を行った場合、または裁判上の請求を起こされた場合などは時効期間が中断します。
中断とは、時効期間がリセットされ、1日目に戻ることです。また、裁判を起こされた場合には、元々の時効期間に関わらず判決の翌日から10年の時効期間が適用されます。

時効の中断について詳しくはこちら

時効中断が成立するケース

  1. 債務の請求(貸主が裁判訴訟)
  2. 債務の承認
    (支払代金の一部支払い、貸主と返済方法について相談をした、「ちょっと待ってほしい」と貸主にお願いした)
  3. 強制執行による差し押さえ、仮差押え、仮処分
    ※仮差押えと仮処分は2020年4月の改正民法では時効の中断効力を持たなくなります。

債権者は当然、借金を返してもらうために時効を成立させないよう、時効の中断を図ります

この時、時効援用を目指す方が注意しなければならないのは、債務の承認をしてしまわないことです。

債務者にとって確実に時効期間を延長する方法は裁判上の請求や強制執行なのですが、これらは弁護士を雇って裁判訴訟を起こさなければならないため、債権者にとって手間と費用が掛かります。また、裁判に勝っても、債務者に資産がない場合は返済してもらえないケースもあるので、裁判に勝利しても貸したお金が回収できるとは限りません。

従って、債権者にとって費用をかけずに手っ取り早く時効が中断できるのが債務の承認、というわけです。書面やメールでのやり取りはもちろん、電話も録音されている可能性が高いため、不用意な発言が命取りになることがあります。

もし長期延滞している債務があって、債権者から督促や和解の連絡が来ている場合は注意が必要です。

せっかく時効を迎えていてもリセットされてしまう可能性もあるので、安易に自己判断せず、時効援用サービスの専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

借金の時効期間の大半は5年です。
しかし、2020年の民法改正前のケースでは、貸主の業態や目的によって10年時効が適用されることもあるので、注意してください。

改正民法では、借金の時効がシンプルになりますが、改正民法が適用されるのは改正後に結ばれた契約に対してですので、今既に借金をしている方は改正前の民法が適用される点も認識しておきましょう。

起算日や中断のポイントについて正しく理解し、失敗しないように時効援用の申請をしましょう。