2019.07.05更新

過払い金の時効は?ブラックリスト掲載のリスクと時効援用での対策方法

過払い金の時効について考えられたことはありますか?
2010年以前に金融業者からお金を借りた方は、利息を支払いすぎている「過払い」の状態になっている可能性があり、過払い金を取り返す権利があります。

しかし、過払い金の請求についても時効があり、時効期間を過ぎてしまうと払いすぎたお金を二度と取り戻せなくなってしまうのです。

今回は、過払い金の時効についての解説をしたうえで、過払いが生じている借金についての対応方法について解説しています。
また、過払い金の請求にはデメリットが生じる場合もありますので、その際の対処法についても解説します。

損をしてしまうことがないように、ご自身の状況を確認しながら読み進めていただけたら幸いです。

過払い金とは

借金の過払い金は数年前にかなり話題になりテレビCMも多く流れていましたので、なんとなくご存知の方はいらっしゃると思います。

しかし、過払い金とはどのようなもので、どんな時に請求できるのかよくわからないという方も多いことでしょう。

そこで、まずは過払い金がどのようなものかについて解説いたします。

過払い金とは利子を支払いすぎた借金のこと

過払い金とは、カードローンやキャッシングなどで貸金業者に支払いすぎていた利息のことです。

以前の貸金業者の中には、民事上は無効になるものの刑事罰が課されない「グレーゾーン」といわれる金利を設定していました。これらは、元々「無効」であるはずの請求なので、支払った後でも請求すれば返してもらうことができます

こういった過払い金など、違法に得た収入のことを「不当利得」といいます。民法でも次のように規定されています。

第703条

法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

条文にもある通り、貸金業者は過払い金を返還しなければなりません。2010年6月17日にグレーゾーン金利が撤廃されたため、それ以前に借金をされた方は過払い金を返してもらえる可能性があります。

返してもらうことが不可能なケースもある

過払い金の返還を求める際には、貸金業者を相手に請求をする必要があります。
そして、貸金業者が支払いに応じてくれない場合や金額に相違がある場合には、裁判訴訟を起こすこともできます。
こうした手続きを経て、不備なく手続きが進められれば過払い金は戻ってきますが、そもそも返済してもらうことができないケースがあります。

返済してもらうことができないケース

  1. 貸金業者が倒産してしまった時
  2. 過払い金の請求について貸金業者から時効援用されてしまった時

倒産のケースは個人ではどうしようもないものですが、過払い金の請求に関しても借金と同様に時効が成立するということはつい忘れがちです。

時効援用されてしまうと、過払い金の返還は請求できなくなってしまいます。

過払い金の時効期間は10年

過払い金の時効期間は10年です。

支払い完了、あるいは直近の弁済から10年が経過した時点で時効が成立するということになります。一度も返済していなかったときには、借入日の翌日が時効の起算日になります。

民法第167条

債権は、十年間行使しないときは、消滅する。

過払い金の時効を成立させないために

過払い金の時効期間が経過してしまうと、実質的に過払い金を請求することはできなくなります。
貸金業者は時効援用手続きを行う必要がありますが、時効経過後の場合は過払い金の請求を行えばまず間違いなく時効の援用をされてしまいます

時効期間の成立を防ぐためには時効を中断する必要があります。

方法としては裁判訴訟を行うなどの方法があります。しかしながら、貸金業者はこの手の専門家ですので、ご自身で対応策を考えるより弁護士事務所などに相談するのがベストな方法ではないでしょうか。

借金について時効があるのと同じように、過払い金にも時効があるんですね。

そうなんだよ。だから、払い過ぎたお金を取り戻したい時には貸金業者から時効援用される前に請求をする必要があるんです。過払い金請求をするときは、手続きが複雑で難しいので弁護士事務所か司法書士事務素に相談すると安心ですよ。

過払い金請求にはデメリットも⁉対処法とは

過払い金の請求は、状況によっては大きなデメリットがあるケースもあります。
デメリットが生じるケースとその場合の対処法について解説します。

過払い金を請求するとブラックリストに載ってしまうことがある

過払い金を請求するときの最大のリスクは、過払い金請求をすることでブラックリストに載ってしまうことがあるということです。

正確には、ブラックリストに載ってしまう場合と載らない場合があります。

ブラックリストとはJICCやCICなどの信用調査機関の事故情報のことで、事故情報が登録されてしまうと新しくクレジットカードが作れなくなってしまったり、ローンが組めなくなってしまったりしてしまいます。

そしてブラックリストに載るか載らないかの分かれ目は以下の通りです。

ブラックリストに載らない
  • 借金をすでに完済している
  • 借金を完済していないが、過払い金の方が借金の残金よりも多い
ブラックリストに載る
  • 過払い金の額が、借金よりも少ない

つまり、過払い金を請求して残金が残ってしまう時には、同時に事故情報が登録されてしまい大きなデメリットを受けてしまうのです。

ブラックリスト入りは時効援用で解決できる可能性がある

過払い金の額が借金の残額よりも少ない場合には、泣き寝入りするしかないかといえば、決してそういうわけではありません。
最終の支払い(もしくは借り入れ)から5年以上が経過している場合、借金の時効を援用できるからです。

法律上借金が0になるので、時効援用をすることでブラックリストに入ってしまうことはありません(ただし、元々の借金返済の滞りによって既に信用調査機関に事故登録されている場合はあります)。

時効援用をした後に、さらに過払い金を取り返せる可能性もある

もし過払い金請求の時効が成立していない場合、時効援用に成功した後に、さらに過払い金を取り返せる可能性はあるのでしょうか?
つまり、借金をいったんチャラにしたうえで、これまで払いすぎた利息分を取り戻せるかどうかということです。

この問題は法律の専門家でも意見の分かれるところですが、時効援用手続きをしていったん借金を帳消しにしてから過払いの部分について時効援用手続きを進められる可能性があります。

過払い金額の計算など専門的な内容を含みますので、一度近くの弁護士事務所や司法書士事務所に相談されてみてはいかがでしょうか?ただし、弁護士の相談費用や裁判費用などが掛かる可能性があるので、過払い金の金額によっては費用の方が高くついてしまう可能性もあります。

お金を払いすぎてしまっていたとしたら、すぐに「取り返したい」って思うけど、それが良いとは限らないんですね。

判断が難しいところではありますが、借金の残金が残っていて時効期間が過ぎていればまず時効援用を考えた方が無難です。

まとめ

かつての「グレーゾーン」利息についての過払い金に関しても、10年の消滅時効が設定されています。

時効が成立してしまうと、過払い金の請求ができなくなりますので過払い金の残っているうちに対策を検討しましょう。ただし、過払い金請求にはブラックリストに掲載されてしまうリスクがありますので、状況を確認したうえで対応することが必要です。

借金を完済している場合や、過払い金の額が借金の残金より多い時には問題ありませんが、借金の残金が過払い金よりも多い場合には時効の援用の方が得策な場合があります。

専門的な判断が求められますので、弁護士や行政書士などの法律の専門家に相談の上対応を検討するのが効果的です