2019.07.03更新

売掛金の時効は?短期消滅時効と民法改正のポイント

売掛金の時効は?という問題を考える場合、短期消滅時効と2020年4月の民法改正を考える必要があります。

商行為に関する時効は5年ですが、商品の購入など売掛金の時効は短期消滅時効が適用されるケースが多いためです。そして、短期時効は民法改正により変更されます。

今回はこれらの売掛金と時効改正についてわかりやすく解説します。

売掛金と時効援用について

未払いの売掛金は、時効期間が経過すれば時効の援用をして法律上の支払い義務を帳消しにすることができます
まずは、売掛金と時効援用について解説します。

売掛金とは

売掛金とは、先に商品やサービスを提供し、後日代金が支払われる予定になっている債権のことを言います。この場合の債権とは、お金を支払ってもらう権利のことです。

企業同士の仕入れや売買では売掛で行われることが一般的ですし、個人を相手にする場合でも飲食代金の「ツケ」や後日払いのサービスが売掛金になります。そして、売掛金で販売することを「掛け売り」といいます 。

売掛金と時効援用

掛け売りの場合、債務者が代金を支払った段階で契約が完了しますが、何らかの原因で支払いがされない(できない)こともあります。
そして、支払いが完了しないまま時効期間が経過した場合に、債務者(商品を購入したり、サービスを受けたりした人)は時効を援用して支払いの義務をなしにすることができます

掛け売りの時効は、商行為にあたるため商法522条に規定されています。

第522条

商行為によって生じた債権は、この法律に別段の定めがある場合を除き、五年間行使しないときは、時効によって消滅する。
ただし、他の法令に五年間より短い時効期間の定めがあるときは、その定めるところによる。

従って、売掛金の消滅時効は5年間ということになります。

後日払いで物を購入した時、どうしても支払えない時は時効援用という手段があるんですね。

そうです。しかも、条文にも少し書いてありますが、5年よりも短い時効期間が設定されているケースもあるんだよ。
次の章では、短い時効について詳しく紹介します。

短期消滅時効と民法改正

売掛金の時効の特徴の一つに、特別に時効期間が短く設定された短期消滅時効にあたるものが多いことが挙げられます。

そして、短期消滅時効は2020年4月1日以降の民法改正の影響を大きく受けることになっている点について、注意する必要があります。

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1点知っておきたいのは「他の法令に5年間より短い時効期間の定めがあるときには」という文言です。
これは、短期消滅時効と呼ばれている特別な規定です。

以下の表は、民法で規定されている特別消滅時効のうち代表的なものとその時効期間をまとめたものです。

内容 時効期間

医療機関の診療報酬、工事の設計・施工などの工事代金、損害賠償(物損)

3年間

弁護士報酬、小売り店の商品代金、学校や学習塾の授業料、クリーニング店や美容院の費用など

2年間
タクシーの運送代、飲食代、宿泊費、貸衣装などの賃料、娯楽施設の入場料など 1年間

短期消滅時効は民法改正により廃止(2020年4月1日~)

短期消滅時効は、借金の返済に悩む債務者にとっては非常にありがたいものですが、2020年4月1日より施工される民法の改正により廃止され、一律で5年間の時効が適用されることになります。

従って、従来は1年や2年で成立していた時効も5年時効へと変わります。

改正民法が適用されるのは、2020年4月1日以降に交わした契約からです。
例えば、2020年3月に購入した商品の代金については、契約が2020年4月1日より前のため、短期消滅時効の「2年間」が適用されます。

短期消滅時効は一見便利に見えるけど、改正されてしまうんですね。

元々、内容が複雑すぎることや今の時代に見合っていないという批判があったんです。
例えば、どうして医療報酬の時効は3年間なのに弁護士報酬の時効は2年なのか?弁護士の先生になってみると少し不公平な気がしませんか?

時効期間などはケースによって異なるので、安易に自己判断せずに時効援用を専門としている事務所に相談することをおすすめします。

まとめ

借金に限らず未払いの支払いがあるときには、時効を援用できる可能性があります
特に、ツケや後払いの売掛金の場合には、気が付かないうちに時効を迎えていることもあるので、もし支払いがどうしても難しいようなら一度時効期間を確認してみると良いかもしれません。

売掛金の時効は、通常5年間です。しかし、売掛金の場合には短期消滅時効にて1~3年で時効が成立するものもあります。今回記載した具体例を参考にしてください。

民法改正もありますし、お手元の請求書について短期消滅時効の対象となるのかどうか、時効は何年で成立するのかなどわからないことがあれば、弁護士や行政書士の事務所へ相談すれば安心して手続きできると思いますよ。