2019.07.03更新

連帯保証人と時効援用の関係~パターン別解説

連帯保証人は、借主と連帯して借金の支払い義務を負うので、法律上はほとんど借主と同じ程度の支払い義務を負います。
借主本人は、時効期間が経過した場合に時効援用をして借金を帳消しにできるケースがありますが、連帯保証人の場合にも時効援用はできるのでしょうか?

今回は、連帯保証人と時効援用との関係をさまざまなパターンに応じて解説します。
連帯保証人は状況によって立場が変わってしまいますが、複雑な部分は表にまとめて分かりやすく解説していますので是非参考にしてください。

連帯保証人とは

借金をするときには、連帯保証人を付けることも多いと思います。

連帯保証人とは、借主本人が何らかの事情で支払いができなくなってしまった時に本人の代わりに支払いをする人のことです。通常の「保証人」と異なり、連帯保証人は借金の全額に責任を負うことになり、債権者から突然請求されても文句をいうことはできません。連帯保証人が複数いる場合でも、一人ひとりの連帯保証人が借金全額に対して責任を持ちます。

「連帯」という言葉の通り、借主の支払い責任の全てを本人と一緒に背負うことになります。

連帯保証人の立場は非常に重いんですね。

支払い能力があるのに借主本人が雲隠れしてしまった場合や、本人が自己破産をしてしまった場合にも、連帯保証人は支払い義務があるんだ

連帯保証人と時効援用の関係

連帯保証人は、借金に関してとても重い責任を持ちますが、時効を援用することはできるのでしょうか?

結論としては時効援用可能ですが、本人のケースを考えるよりも少し複雑です。まずは、その原則から解説します。

連帯保証人が時効援用により借金が帳消しにできる2つのパターン

連帯保証人が、時効援用により借金が帳消しにできるのは、以下の2つのパターンがあります。

ケース1
債務者(借主)本人の時効援用が成立したケース

借主本人の時効が成立すると、連帯保証人の支払い義務もなくなります。
元々、連帯保証人は貸主からお金を借りているわけではなく、借主との間で「払えなくなった時に代わりに支払う」という立場であるため、借主の支払い義務がなくなると同時に連帯保証人としての立場もなくなる、という考え方です。この場合、連帯保証人は特に何の手続きをする必要もありません。

ケース2
連帯保証人の時効援用が成立したケース

連帯保証人の時効援用は、単独でも成立します。時効援用を通知する方法は貸主本人の場合と同じで、貸主に対して通知書を送付します。手続き方法の詳細はこちら
この場合の時効援用は連帯保証人にのみ成立するので、借主本人の支払い義務は継続します。

連帯保証人と時効の中断

連帯保証人の時効について考える時にパターンによっていろいろと複雑になるのが時効の中断です。

時効の中断とは、債権者から裁判訴訟を起こされたときや借主が一部の支払いをした際などに時効期間が0にリセットされてしまうことです。こちらで詳しく解説しています。

パターンごとに解説します。

パターン1
貸主が裁判上の請求を行った場合
  借主本人の時効 連帯保証人の時効
借主本人に対して請求 時効中断する 時効中断する
連帯保証人に対して請求した場合 時効中断する 時効中断する

裁判や差し押さえによる請求が行われた場合、どちらを相手に行われた場合でも本人・連帯保証人の両方の時効が中断されます。

また、裁判訴訟を起こされてしまった場合の時効期間は元々の時効期間に関係なく10年になります。
この時、貸主本人が裁判を起こされた場合、連帯保証人も同様に10年の時効期間が適用されます。
一方、連帯保証人が裁判を起こされてしまった時、借主本人は5年、連帯保証人は10年の時効期間となります。

→ですが、連帯保証人は借主本人の時効を主張することもできるため、5年経過後に連帯保証人が借主本人の時効を援用すれば、連帯保証人自身の支払い義務をなくすことができます。

パターン2
債務の承認を行った場合
  借主本人の時効 連帯保証人の時効
借主本人が承認 時効中断する 時効中断する
連帯保証人が承認 時効中断しない 時効中断する
時効期間経過後に借主本人が承認 時効中断する 時効援用できる

連帯保証人が債務の承認を行っても本人の時効には影響しません。
ただし、連帯保証人の時効期間が残っていても、借主本人が時効援用し成立した場合には連帯保証人の支払い義務も同時になくなります。

さらにややこしい点として、時効期間経過後に借主本人が債権を承認した場合、本人は時効中断してしまいますが、連帯保証人はその影響を受けず、単独で時効を援用することができます

時効の中断がとてもややこしいですね。

連帯保証人は、どのようなケースで時効が中断されるかを理解して、借主本人の状況を把握しておかないといけないですからね。

連帯保証人については複雑になるので、安易に自己判断せずに法律の専門家へ相談することをおすすめします。

連帯保証人と時効援用のさまざまなパターン

契約内容や状況により、連帯保証人の状況もいろいろと変化します。
いくつかの状況を紹介します。

借主本人が自己破産をしてしまった場合

借主本人が自己破産をしてしまった場合は、連帯保証人の支払い義務は引き続き残ってしまいます。なぜなら、自己破産は借金がなくなるわけではなく、支払いが免除される、という性質のものだからです。

むしろ本人が自己破産をしてしまった場合には、貸主は連帯保証人から借金を回収しようとするので、督促が頻繁になる可能性も考えられます。

この時に注意したいのが時効についての考え方です。自己破産は管財事件同時廃止事件という2つの処理方法があります。

管財事件とは、破産者の財産を債権者の債権の割合に応じて分担する方法です。原則として自己破産は管財事件として扱われます。しかし、分配する財産がない場合には、簡易的な同時廃止事件として処理されます。

管財事件の場合、裁判所の命令で財産の配当が行われるため、時効が中断し、新たに10年の時効期間が設定されます。反対に同時廃止事件の場合はそれまでの時効期間が継続します。

原則は管財事件ですが、個人の自己破産の場合は同時廃止事件として処理される割合が高いです。

連帯保証人が亡くなった場合

連帯保証人が亡くなった場合、連帯保証人としての責任も相続人(亡くなった方の配偶者や子ども、遺言で指定された方など)に引き継がれます

相続人は、連帯保証人としての立場はもちろん、時効期間などの全ての状態をそのまま引き継ぐことになります。

ただし、相続の際に相続放棄をすることも可能です。ただし、相続放棄を行うと資産や貯金などの財産も放棄しなければならないので注意が必要です。

連帯保証人が複数いる場合

連帯保証人が2人以上いる場合もあります。
このとき、連帯保証人同士の関係はどのように扱われるのでしょうか?

結論を先に言えば、連帯保証人同士は互いに影響しません。

例えば、連帯保証人が2人いるケースについて、一方の連帯保証人Aが毎月定期的に返済をしていて、もう片方の連帯保証人Bが全く返済をしていない場合、BはAの代金支払いの影響を受けずに時効期間が経過します。

連帯保証人も本人の状況や自分自身の状況によっていろんな状況があるんですね。

連帯保証人になっている方は、いざという時に不利益にならないように日ごろから借主本人や家族に契約の状況を伝えておくことが大事なんです。

まとめ

借主本人だけではなく、債務者の連帯保証人も時効を援用することができます

ただし、本人の場合よりも条件が少し複雑です。特に、時効の中断に関しては債権者本人の状況が大きく影響しますので、注意が必要です。どのようなケースで時効が援用できるのか、債務者の支払い状況や債権者からの督促状況はどのようになっているかについて日ごろから確認しておきましょう。

時効援用を専門とした事務所もあるのでこういった事務所に相談してみるのもおすすめです。