2019.06.19更新

時効の中断とは?3つの中断事由と債務の承認に関する事例解説

時効の中断とは、進んでいる事項の期間が最初に戻ることを指します。
例えば、銀行からの借金は中断がなければ借り入れから5年後に時効になり帳消しにすることも出来ます。
しかし、途中で中断があると、時効期間はいったんリセットされ、5年経過してもまだ時効期間が経過しません。

今回は時効の中断の概要について解説をしています。
そして、時効の中断事由の中でも債務者が特に知っておきたい債務の承認についての具体例を紹介しています。

時効の中断を理解することで、時効援用に成功するか否かは大きく変わってきますので、ぜひ参考にしてください。

時効の中断とは

時効の援用ができる条件の一つ目は時効期間の経過ですが、そこで大きな問題になるのが時効の中断の有無です。
まずは、時効の中断とはどのような状態を指すのか、どういった事由があれば時効の中断が成立するのかについて解説します。

時効の中断とは

時効の中断とは、経過している時効の期間がいったんゼロに戻ってしまうことを指します。
「中断」という言葉からは「ストップ」をイメージしてしまいがちですが、実際の意味合いとしては「リセット」になります。
時効が中断すると、時効の中断があった時点から5年もしくは10年経過しないと時効が成立しませんので、時効の経過がかなり困難になってしまいます。

時効の中断の3つの事由

債務者(借金を支払う側の人)にとっては、時効の中断はありがたくないものですが、どのようなときに時効が中断されてしまうのでしょうか?
時効を中断させる行為には3つ(請求差し押さえ債務の承認)あります。

事由1
請求

請求とは、裁判上での請求ということになります。
わかりやすく言えば、債権者(貸主)が債務者に対して「お金を支払ってほしい」と裁判訴訟をすることです。
一般的な請求書や督促状は時効の中断事由にはあたらず、あくまで裁判上での請求であることが要件です。

請求による時効の中断に関しては注意点が3つあります。

請求よる時効の中断に関する注意点

  • 判決が下りた場合、元々の時効期間が5年の場合でも10年に延びてしまうことです。
    • (→第174条の2
      確定判決によって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。)
  • 時効期間の再開(起算日)は、判決が出された翌日となることです。
  • 債権者が債務者の住所を知らない場合、公示伝達といって債務者の知らないところで裁判を起こしている可能性があります。
    •  この場合、裁判の通知は自宅へ届かず、裁判所の掲示板に掲載されるのみとなりますので、債権者に住所を知らせずに引っ越しをされた場合は、公示伝達されていないかの確認をしましょう。
事由2
差し押さえ(仮差し押さえ・仮処分)

債権者からの督促を無視し続けた場合や、裁判の判決によっては差し押さえ、仮差し押さえ、仮処分をされることがあります。
借金の場合に多いのは、支払督促による差し押さえです。
支払督促の場合、裁判を起こさなくても手早く給料の差し押さえなどが行えるため、債権者にとって利用しやすい制度だからです。

※仮押さえ・仮処分については2020年4月からの民法改正により、時効中断事由から除外されます。

事由3
債務の承認

債務の承認とは、簡単にいえば借金をしていることを債権者に対して認めることです。
例えば、請求金額の一部支払いをした場合、債権者に返済方法についての相談をした場合、利子分の調整などを依頼した場合が債務の承認にあたります。

債権者が、時効の中断を狙って督促の電話をしてきたり、書面を送付してきたりするケースが多いので、時効援用を成立させるためには慎重な対応が必要です。
特に、電話での連絡の場合には、ちょっとした一言が時効の中断事由とされてしまうことが多いので、基本的には電話での連絡は避けた方が無難です(口頭でのやり取りも法的に有効です)。

安易に自己判断で行動せず、まずは法律の専門家に相談することをおすすめします。

催告による時効の延長にも注意

請求による 時効中断は、裁判上での請求であることが原則ですが、裁判外の請求であっても6か月間、時効が延長されることがあります
これを催告といいます。

ここでいう催告とは、提訴(訴訟をすること)を起こすことを前提に、督促状などの書面を送付することです。
督促の後、提訴や債務の承認がなされなかった場合には、催告は無効になります。

催告は、内容証明郵便で送付されるケースが多いです。

一定の期間が経過すれば必ず時効が成立してしまうというわけではないんですね?

そもそも時効の法律的な根拠の一つが、「請求しようとしなかった者は法的に保護しない」だからね。

ところで先生!
具体的にどのような場面が債務の承認になるのかがちょっとイメージしづらいのですが・・・

では債務の承認についてはケーススタディを紹介しましょう。

<ケーススタディ>債務の承認になる場合

3つの時効中断理由のうち、債務の承認については債務者の対応が結果を大きく左右します。
ですので、どのような行動をすれば債務の承認にあたるのかを知ることがとても重要です。具体例を交えて紹介します。

請求の一部を支払った場合→時効は中断する

請求に対して支払いをしたということは、支払い義務があることを把握しているとみなされます。従って、債務の承認にあたり時効期間は中断します。

注意したいのが、3年前、4年前に一部支払いをしていて支払いをしていたことを本人が忘れているケースです。
時効期間が経過していると勘違いして時効援用を申請してしまい援用に失敗してしまうケースがあります。
(時効援用の失敗について詳しくはこちら

②裁判所からの支払い督促に対して返済方法を回答した場合→時効は中断する

例えば、急に10年前の支払い督促が裁判所から届き、慌てて支払い方法などについて裁判所に連絡をした場合、督促が届いた時点では時効が成立していますが時効援用前に承認をすると借金の時効は中断し、支払い義務が継続します。

督促が届いた時に時効援用できることを知らなかった場合でも、時効援用はできないと思われます(最高裁の判例で同様のケースで時効援用が認められていません)。

債権者から督促の電話があったとき→会話の内容によって時効は中断する

債権者から支払いの督促の電話がかかってきたときには、電話の内容によって時効中断の事由になります。
つまり、借金の存在を認めるような回答をしてしまった場合 が、時効の中断理由にあたります。

もっとわかりやすい例は、返済方法について分割の相談をしたり、利子の分を免除してもらえないかと依頼したりした場合時効の中断に当たります。

また、 債権者から「いつになったら支払ってくれるんですか?」と聞かれて「少し待ってください」と答えたような場合でも、借金の支払い義務があることを認識しているとみなされます。

一方、「○○さんのお電話ですか?」といった程度の質問に答えた程度では時効の中断にはあたりません。

電話で債権者と直接やり取りをする場合には、時効中断事由にあたってしまうことが多いので、電話に出るのは細心の注意が必要です。
債権者は、後の証拠となるように電話の内容を記録していることも多いので、口頭でのやり取りだからと言って油断できません。

時効期間が経過していないのに時効援用通知書を送付してしまった→時効の中断する

時効期間が経過していると勘違いして時効援用通知書を送付したものの、実際は時効期間が経過していなかった場合は、時効援用通知によって債務の存在を承認してしまうことになります。

借金について知人に相談した→時効の中断にはならない

時効の中断が成立するのは、債権者に対して債務を承認した場合です。

債権者とは関係のない第三者に対して、借金があることを認める発言をしても時効の中断事由にはなりません。
当然ですが、弁護士や行政書士事務所に時効援用手続きの相談をするのも時効の中断事由にはなりません

どんな状況でも債務者とのやり取りは慎重に対応しないといけないことが分かりました。

できる限り、債権者との直接のやり取りは控えて法律の専門家に相談するのがおすすめです。

まとめ

時効の中断がされると、借金は振出しからのスタートになってしまい、時効援用が非常に難しくなってしまいます。
時効の中断事由としては、請求、差し押さえ、承認の3つがありますが、債権者が特に注意をしたいのは承認です。
承認は債務者の対応によって結果が大きく左右されてしまうからです。

場合によっては、時効が成立しているにもかかわらず承認をしてしまったことにより時効援用ができなくなるケースもありますので、できる限り法律の専門家に相談してください。

時効援用サービスを活用してスピーディに手続きを済ませる方法もおすすめです。早めに対処して借金のお悩みから解放されましょう。

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