時効援用と借金時効って何か違うの?

先生!借金時効が成立したらお金を払わなくていいんでしょうか?

時効が成立したら、時効の援用というものを行う必要があります。
時効援用を行い、それが認められると払わなくてもよくなるというのが流れになります。

借金時効と時効援用って同じじゃないんですか?

では、今回はその疑問を解消すべく時効援用と借金時効についてお話します。
目次
時効援用とは
一定の条件を満たしている場合、時効により借金が合法的に帳消しになります。
その際に「時効によって無効になったのでお金を払わない」という意思表示をすることを時効の援用といいます。
正直に言いますと、時効援用はうまく認められず結果支払いをしなくてはならないといったケースが多くみられます。そのような場合の多くは自分で時効援用を行おうと書類を作成し、提出したというケースが多いです。
なので、確実に時効援用を行いたい方はプロに任せることでミスなく手続きを進行できるのではないかと思います。

実際に時効の援用を行った後の流れはどうなるのでしょうか?

時効の援用により支払いをしない意思を表明し認められた場合、
債権者から返済を催促されることもなく、財産の差し押さえ等も起こりません。

でも時効援用って借金限定の話ですよね?

いいえ、借金の他にも、商品を購入したりサービスを受けたりした際の
代金の未払い分についても、時効の援用ができる場合があります。
- 大事なポイント!
- 時効の援用とは、お金を借りたり商品を買ったりしてから一定の期間が過ぎた時に、時効を理由に借金や代金の支払いを0にできる、という制度を指します。
借金がなくなるなんてこと本当にあるの?
日本の民法と商法に基づくと
- (民法)第167条
-
1債権は、十年間行使しないときは、消滅する
2020年4月に改正
- (商法)第522条
-
商行為によって生じた債権は、この法律に別段の定めがある場合を除き、
五年間行使しないときは、時効によって消滅する
のように定められていることが分かります。
債権者(お金を貸した側)が持っている債権(お金を支払ってもらう権利)が時効により消滅すると、
当然支払わなければならない義務、すなわち債務もなくなります。よって借金が0になるという仕組みになります。
時効が成立する期間は?
上述の通り、民法では10年、商法では5年が経過すると債権が消滅する、と規定されています。
民法と商法のどちらが適用されるかの違いを分かりやすく言えば、
営利目的かそうでないかの違いになります。
農協や信用金庫からお金を借りている場合や住宅金融支援機構の住宅ローンなどは営利目的とはみなされないため、民法の10年が適用され、人から直接借りたお金は民法の10年、銀行や消費者金融から借りた場合は商法の5年が適応になります。

時効の仕組みはわかりましたが、実際に援用する場合はどうすればいいのですか?

時効援用の要件に沿っているかをまずは確認する必要があります。
時効援用の要件
時効の中断とは、債権者から債務者に対する裁判訴訟や財産の差し押さえ、債務者から債権者への請求額の一部支払い、支払い方法の相談などによって、時効期間がリセットされてしまうことです。
時効の中断についてはこちらで詳しく解説しています。
時効の要件を満たしていない状態で申請をしてしまうと、時効の中断を招く可能性があります。
本当に当てはまるのか、事故で判断しにくい場合は専門家に相談をしましょう。
借金時効とは
借金時効は先ほど申し上げた時効が借金に対して適応になった場合、
借金の返済額が0円になること自体を指します。
借金だけでなく、カード会社からの請求、税金等にも適応される場合があり、
すべて含めて消滅時効と呼ばれています。
- 現在民法で定められているものは
-
- 権利を行使することができる時から10年
- 権利を行使することができることを知った時から5年
となっているため
例えば、
借金をしてから5年経過したのち債権者が返済をしてもらう権利を知った場合、
その日から5年は消滅時効が成立しませんので、合計10年経過するのを待たなくてはいけません。

これだけ聞くとなんだか時効までの期間
無視をし続ければ援用ができてしまう気がしますね。

簡単に時効援用とは言いますが、実際に行うのはとても困難なことになります。
その理由は・・・
- 時効は(請求、差し押さえ、仮差押さえ、仮処分、承認により)中断できる
- 援用の意思表示が必須
という二点があげられます。
まとめ
時効援用というのは下記の条件を満たしているため支払いをしないという意思を表明することを言います。
- (民法)第167条
-
- 債権は、十年間行使しないときは、消滅する
[2020年4月に改正]
- (商法)第522条
-
商行為によって生じた債権は、この法律に別段の定めがある場合を除き、
五年間行使しないときは、時効によって消滅する
民法が適応されるのか商法が適応されるのかというのは、
お金を借りた相手や機関によって異なるため注意が必要です。
借金時効は、時効により借金の返済が0になること自体を指します。
しかし、時効を成立させるには時効の援用が必須になります。
時効の援用自体、認められることが難しく失敗に終わり、時効の中断になってしまうことが多くあります。
自分で手続きを行うことに不安がある方は、専門家に相談することをお勧めします。
最近では、借金時効の制度自体が本当に必要かどうか議論されています。
いつ時効制度が適用できなくなるか分からないので、お悩みの方はお早目に手続きすることをおすすめします。